PR
コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- その20 名残 ( No.33 )
- 日時: 2011/07/25 14:16
- 名前: とろわ (ID: 1ZQMbD0m)
ふぅ、と椅子に腰掛ける。
まだ2人は言い争ってるみたいだし、俺はのんびり待っていることにした。
…しかし、どうやってあの2人は知り合ったんだろうなあ。
ま、俺には関係ない事だよな、多分。
ふと、窓際のロッカーの上に、何かがちょこんとのっかっている事に気づいた。
あれは、ぬいぐるみなんだろうか。
大分ぼろくなっていて、色褪せてはいるが、毛糸のくまのぬいぐるみのようだ。
「あの、部長」
俺は思わず声をかけてしまう。
「ん、なんだい。手芸とかはしないよ」
「いや、そういう事ではなくて…」
そう言って、俺はぬいぐるみの方を指差した。
「あれってなんなんですか?」
暫く、沈黙が続く。
分からない、というよりは、応えづらいといった表情を浮かべていた。
「いや、答えたくなければいいんですけど」
慌てて俺がそう付け加えると、部長は首をふるふると振り、俺の方に身体を向けた。
「いや、そういう訳じゃないんだけどね。…あれは、昔、本当に手芸部らしい事してた時の名残、かなあ」
そういうと、部長は遠い目をした。
…なんかあったのかは分からなかったが、俺は黙っておくことにした。
PR