コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- その28 なんだかんだで心配性 ( No.52 )
- 日時: 2011/07/26 22:49
- 名前: とろわ (ID: 1ZQMbD0m)
それから2、3日後。
手芸部に入ってから、初めての休みだ。
「…ま、部活に行かなくちゃいけないらしいんだけどな」
俺は鞄を持って、学校へ向かった。
なんか、凄く時間が短く感じる。
多分、マリアに出会ってからなんだろうなあ。
手芸部に入って、皆で馬鹿やって———。
「キャラらしくねえな、それは」
でも、悪くはない、よな。
「おはよっ、輝樹」
「よ、マリア」
靴箱で革靴を脱いでいる途中、マリアと遭遇した。
マリアは急いできたようで、少し息が切れていた。
「よかった、来ないかもしれないって、少し心配したんだ」
「それって、俺を信用していないっていう意味なのか?」
俺がそうジト目で言うと、マリアは首とぶんぶんと振った。
「いや、違う違う!!そういう意味じゃなくって!!」
「じゃあどういう意味なんだよ」
そう言い返すと、マリアは一瞬困ったような顔をした後、しゅんとした表情で口を開いた。
「その……、俺ってさ、お前の事、成り行きで入部させたようなもんだろ?お前は自分では思っていないかもしれないけどさ、結構優しい人間なんだよ。だから、本当は無理してるのかもしれないとか思うと、ちょっと不安になったんだ」
あ………、そうか。
そういえば、こいつはいつもこんな調子なんだよな。
「…………」
「ん、なんだよその顔は」
どうやら、俺はアホ面をマリアに晒していたらしい。
俺は慌てていつもの顔に戻る。
その後に、俺は自然と口が開いた。
「やっぱり、お前は心配性だよな。…別に、そこまで気にしてねえよ」
「へ……?」
マリアは驚いたような顔をして、俺の顔を見つめる。
「俺はこの部に入ってよかったと思ってるからな。なんか、いつもダラダラと過ぎてた時間がどんどん過ぎていってさ。…だから、そんなに心配すんな。お前は心配しすぎなんだよ、色々」
なんか、すっげー臭い気がするぞ、今の台詞。
俺とマリアの間にしばらく沈黙が続いたせいか、余計に恥ずい。
マリアも顔が赤い気がする。そうだよな、あれは恥ずいよな、うん。
そう思っていると、マリアの口がもごもごと動いていた。
「お前もだろ、馬鹿野郎……」
「?」
残念ながら、俺は良く聞き取れなかった。