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Re: *田中さん家の日常*『オリキャラ募集中』 ( No.28 )
日時: 2011/08/10 13:37
名前: 棋理 ◆U9Gr/x.8rg (ID: wbEZ.sQ0)

はち  「苦手な人は苦手だと思う」

———部活終了後———
「よう、お疲れ」
「お前もお疲れ、翔汰」

部活が終わり急いで校門に戻ると、すでに魅零は待っていてくれた。部活終了時刻は6時で完全下校が6時半。今はちょうど6時半だ。今ぐらいの時間なら、彰兄も帰ってくる頃だろう。あず姉だけじゃないことを祈る。

「じゃあ行こうぜ」
「……ああ。梓さん……だっけ。どんな人だ?」

その質問に俺はしばし考える。あ、改めて聞かれると……あず姉ってどんな人だろう。
とりあえず思いつくことを言ってみる。

「笑顔が怖い、怒ると怖い、優しいけど怖い、マイペース、天真爛、つかみ所がない、以外と頑固……」
「わ、分かった!もう良いから……」

やっぱり改めて聞かれると分からないな……。孝太ならすぐ答えてくれそうだけれど。
俺の紹介を聞いてすっかりテンションが下がった魅零に、一応フォローを入れておく。

「大丈夫だって、意外と可愛いところあるから。……多分、おそらく、きっと」
「それ、大丈夫って言うのか?」



———家———
「ただいまー。友達連れてきた」
「お、お邪魔します」

玄関を開けて靴を見ると、彰兄のと孝太のがあった。幸いあず姉のはいない。
リビングに行くとすでに孝太と彰兄がゲームをしていた。

「お帰り。そっちの人誰?」
「ああ、俺の友達の……」
「後宮魅零。よろしく……」

孝太に紹介すると、彰兄にも礼をする。そして、まだ不安そうに辺りをきょろきょろする。
どうやらあず姉がいるかどうか、まだ半信半疑みたいだ。仕方ないから俺が彰兄に聞く。

「あず姉はいないのか?」
「ああ、梓なら夕飯の買い出しに行った。ちょうど味噌きらしてたからさ」
「ふうん。……だってよ、魅零。良かったな」
「あ、いや、まぁ……」
「おい、あず姉がいないからなんで良かったなの?」

すると、やっかいなのが割って入ってきた。そう、あず姉命の孝太だ。
あず姉がいないとき事に安心した魅零を見て、イラッと来たらしい。本当ならば止めたいところだけど……面白そうだ。大人びているために、口では負けたことがない孝太VSクールで生真面目で生徒会副会長の魅零。こ、これは見物だ……。

「ああ、俺は女性が少し苦手で……」
「お前、あず姉をそんじょそこらの女と一緒にするな。第一、あず姉の何が分かる」
「……なるほど、シスコンか。それも重度の」
「黙れ。ついでにその口を一生開くな」
「おい、一応俺の方が年上だぞ。その口の利き方はないんじゃないのか」
「はっ!お前なんかに敬語を使ったら、俺のプライドが木っ端微塵だ」
「お前のプライドなんかどうだって良いんだが」

うーん……意外と熱いなこのバトル。彰兄も少し楽しそうにしている。
しかし、ここで仲裁に入った方が良いのか。それとももう少し見ているか……。すると、ちょうど良いタイミングであず姉が帰ってきた。

「ただいま。少しスーパーが混んでいたので、遅くなってしまいました。……あら、翔君帰ってきているんですか?」
「あず姉!お帰り!!」

さっきまで魅零とバトルしていた孝太が、さっそくあず姉がいる玄関へと向かう。その様子を見て、唖然とする魅零。……まぁ孝太のシスコンは本当に為す術がないからなぁ。俺は魅零に目配せをすると、玄関まで迎えに行く。

「お帰り、あず姉」
「ただいま、翔君。それと、お帰りなさい」
「あ、ああ……」
「翔兄、邪魔なんだけど。あず姉が通れない」
「んなわけあるか!……っと、俺はお前をケンカしに来たんじゃない。あず姉、俺の友達が来てるんだ」
「あら、翔君のお友達ですか?」

俺が言うと、あず姉は顔をきらきらと輝かせた。うーん、思ったより期待されてるみたいだぞ、魅零。当の本人は女嫌いだというのに。可哀想だ。俺はそっとリビングにいる魅零を覗く。どうやら俺たちの声が聞こえているらしく、軽く緊張していた。
 そしてあず姉とのご対面。

「う、後宮魅零です」
「まぁご丁寧に。翔君——いえ、翔汰の姉の梓です」

頬の筋肉が引きつっている魅零に、そんなことお構いなしにずっと笑顔のあず姉。
俺と彰兄が陰で笑っていたのは、ナイショで。