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Re: *田中さん家の日常*『1話更新』 ( No.3 )
日時: 2011/07/25 14:37
名前: 棋理 ◆U9Gr/x.8rg (ID: /M2Jvana)

に 「あず姉の朝2」

「んじゃ、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
「そうだ、勝手に俺の部屋には入るなよ」
「分かりました。さ、遅れてしまいますよ」

私に部屋に入らないように念を圧した後、翔君は駆け足で学校へ向かいました。
体力造りのため、毎朝学校まで走っていきます。ご苦労様な事です。
さて、時刻は6時になりました。今度は兄二人の部屋に行きます。



兄二人の部屋はとても対照的です。部屋には行って向かって右はとても綺麗で、向かって左はとても汚い部屋を見て私は思わず溜息を漏らします。
私はまず右側のとても綺麗なテリトリーで寝ている兄を起こします。

「芳兄、そろそろ起きてください」
「スー……スー……」

しかし、全く起きる気配がありません。近くの机を見ると、本が置いてあります。
壁一面の本棚にびっしりと本が入っているほどの読書家の兄は、毎晩遅くまで本を読んでいることが多いのです。
私はきっと夜遅かったのだろうと思うと、反対側のもう一人の兄の方へと向かいました。床に散乱しているレシピの書き損じなどを踏まないように歩くと、ようやく布団にたどり着きました。

「彰兄、起きてください」
「ん……もう少しだけ……」
「もう少しって……あとどれくらいですか?」
「あと50分」
「すぐに起きないとフライパンで殴りますよ」
「おはようございます」

私の冗談に本気で怯える彰兄。とりあえず彰兄は目覚めたので、私はもう一度反対側の芳兄の方に行きます。

「芳兄、芳兄。もう朝ですよ」
「……う……ああ、梓か。おはよ」
「おはようございます」

弁護士である芳兄はいつも難しい顔をしていますが、さすがに寝起きの顔はとても綺麗な顔をしています。
黙ってさえいれば女性が黙っていないのですが……口を開けば憎まれ口ばかりで、おそらくお嫁さんは当分先のことだと思います。
 続いて私はもう一度翔君の部屋に行きます。翔君の部屋とは行っても、ここは翔君と四男、孝君の部屋でもあります。

「……孝君、朝ですよ」
「あ、おはよあず姉」
「起きていたのですか?」
「うん、あず姉が翔を起こしに来たときから」

四男の孝君はとても大人びていて、しっかり者です。おまけに末っ子だからとても可愛いです。唯一姉の私にはとても懐いてくれていて、それはそれはもう可愛いですよ。
孝君は私が起こしに来るまでやっていた勉強を中断すると、今日の朝食を聞いてきました。
私は孝君とお話ししながらリビングに行くと、芳兄は新聞を。彰兄はキッチンで何か作っていました。

「何を作っているんですか?」
「お、梓。これはな、昨日俺が考えた新作レシピ!」

フライパンの中を覗くと、そこには卵とトマトと鮭をほぐした物が炒められていました。
正直言うと、とてもありきたりとは思いましたがあえて口には出しません。

「いいと思いますよ。とても美味しそうです」
「そうだろう!?」

彰兄は上機嫌で言うと、皿に盛りつけ始めました。自称料理人の彰兄の作る料理は確かに美味しいのですが、とてもありきたりです。しかし、あえて言わないのは優しさです。