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- Re: *田中さん家の日常*『9話更新』 ( No.41 )
- 日時: 2011/09/15 21:34
- 名前: 棋理 ◆U9Gr/x.8rg (ID: vPvQrDFb)
じゅう 「ご飯は残さず食べること!……うん、まぁ一部例外はあるけれど」
午後8時。夕食後、魅玲はあず姉から逃げるように帰って行った。……まぁ気持ちは分からなくもない。食事中ずっと、あず姉は魅玲に質問していた。俺は普段学校でどんなことをしているのか、俺はどんな友達がいるのか、部活はうまくいっているのか等。それはもう質問攻めにして、魅玲をげっそりさせていた。挙げ句の果てに、質問責めにしたあず姉のせいでげっそりしたのに、「げっそりしてませんか?もっと食べなくてはダメですよ」なんて言われ、頼んでもいないのにご飯を何杯もおかわりさせていた。……本当にいたたまれない。明日、わびでも入れておくか。
「翔君」
「ん、何?」
食器を片付けた後、あず姉は俺を台所に呼び出した。何だろう?
「明日の夕飯なのですが、翔君達で食べてもらえますか?」
「え、なんで?」
「実は、早くに仕上げなくてはならないレポートがありまして……友達の家で泊まりがけでやろうと思っているんです」
ああ、なるほど。俺はその言葉を聞いて納得する。どうして俺しか呼ばなかったのかというと……うん、明日になれば分かると思う。け、決して説明放棄じゃないからな!とにかく、明日になったら嫌と言うほど分かる。
「分かった。頑張ってね」
「はい、ありがとうございます」
そう言うと、あず姉は自分の部屋に行った。おそらく、泊まりの準備をしに行くのだろう。って、その友達とは誰なのだろう?男……はあり得ないよな。さすがに鈍感というか天然なあず姉でも、男の部屋に泊まりがけでレポートをするようなことはない。そのところはわきまえている……と思う。
と、俺がそんなことを考えていると。
「ただいまー」
「あ、お帰りなさい芳兄」
芳兄が帰ってきた。あず姉が台所から玄関へと向かう。すると、芳兄と芳兄の鞄を持ったあず姉がリビングに入ってきた。
「あ、お帰り芳兄」
「ただいま、孝。彰人も帰ってたか」
「暇なもんで」
彰兄の軽口に、芳兄はもっと仕事してこいと返す。孝太はあず姉が荷物を持っているのを見ると、すぐに立って代わりに持つ。そこら辺はちゃっかりしているというか。
「それにしても早かったですね。9時頃と言っていませんでしたか?」
「ああ、朝のことを覚えていたのか。急にクライアントがドタキャンしてな、早めに帰ることが出来た」
「そうですか。それじゃご飯の準備をしますね
「ん、頼む。彰人、一杯付き合ってくれ」
「あ、いいぞ」
そうやって、田中家の夜は更けていくのだった。