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Re: *田中さん家の日常*『3話更新』 ( No.8 )
日時: 2011/07/29 17:05
名前: 棋理 ◆U9Gr/x.8rg (ID: 0.DI8Vns)

よん  「翔君は思春期まっただ中なんです」

朝の6時。俺はサッカー部の朝練のために早く家をでた。家から学校までは歩いて20分ほどの所だから、なるべく走っていくようにしている。体力造りにもなるし、それに何より早く学校に行って自主練もするからな。

「それにしても、俺の部屋には入るなって言ったのに……」

まぁ俺の部屋って言っても、孝太と同室だけど。俺たち兄弟は二人で一部屋だ。ただし、女であるあず姉だけは例外。あず姉は俺にとってはお母さんのような存在だ。いや、俺だけではなくて、兄弟全体がそう思っている。兄貴達も。母親の記憶というのはあまりない。物心ついたときにはあず姉と兄貴達がいて、生意気な弟がいたから。兄貴達から聞くと、母親は仕事人間らしい。俺が生まれていない頃、兄貴達が幼い頃に父親が亡くなってからよりいっそう仕事に尽くす人間になったらしい。不思議と寂しいと感じたことはない。いや、俺や弟の孝太にとっては兄貴達が親父の様なもので、あず姉はみんなのお母さんというような感じだったから。
 しかし、俺は最近あず姉が部屋に入ってくるのを拒むようになった。まぁそこは思春期男子としては、当たり前だと思う。べ、別に隠し事とかはない。というか、まだ中学生の弟と同室なのに、ちょっとアレな本とか持ち込むわけにはいかない。興味もないし。けれど、理由はそれだけじゃない。

「あず姉、最近めちゃくちゃ過保護なんだよな……」

あず姉は来年の春には大学を卒業する。そうしたら就職するのか聞いたら、少し困ったような顔をしていた。おそらく、俺たち兄弟のことが気がかりなのだろう。黙ってしまったあず姉を深く追求するつもりはなかった。

「はぁ……」

俺は胸の辺りにある、なんかもやもやしたものを払うかのように、学校へと走っていった。