コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 自転車ライフ。 —ひまわりのさくころに— ( No.1 )
日時: 2011/07/28 14:11
名前: よるうた。 (ID: u0xvo3rP)

「あと………5分だけ………………むにゃ」



第1話




「遅刻————————っ!!」

 そう叫び、制服で階段をばたばたと、騒がしく下りる。

「試験勉強で寝過ごしちゃった!」

 少しふらつきを覚えながら、テレビのニュースが聞こえる食卓へ駆けこみ、プラスチック製のお皿の上に用意されていたマーガリントースターを口にくわえ、玄関へ走る私。

「試験、がんばりなさいよ」

 靴をとりあえずつま先だけ履くと、洗い物をしていた母の冷たい声が聞こえた。
 しかし、私は返事も返さず、勢いよくドアを開けた。
バンッと、壁にドアの側面がぶつかる。
 私は、靴をかかとまできちんと履くと、坂道の道路を走り出す。

 皆さん、こんにちは。自己紹介が遅れました。
私、津那 南。ごく普通の中3。
 今は夏で、もうすぐ模擬試験がある。それで、昨日は徹夜したんだ。
気付いたら、自分のノートの上に頭を伏せていて、周りには真っ白な光が差していた。
 中3は、とても大変。試験勉強に、進路だってある。部活もあるけれど、私は帰宅部だから、そこはパス。

 私は、坂を思い切り突っ走る。
やがて、坂は普通の道となり、車が走っている大通りに通じた。
横断歩道についたが、信号は運が悪く、赤に染まっていた。

(急いでるのにー………………)

 さらに運が悪く、信号は赤いままだった。点灯もしない。
急いでる分、自分が感じる時間が遅く感じるのだ。
 しかし、そんなことに気が付かない私は、信号が青になるまで、足踏みしながら苛立ちを覚えていた。
 やはり、なかなか色が赤から青に変わらない。
もう、朝の学活の時間が終わる頃に値していた。
 私は仕方なく、遅刻回避は諦めた。
車が間断なく進んでるのを見るのも暇だったので、視線を少しの間、滑らした。
 私の視線が注目したのは、信号機の柱に貼り付けられていた、夏祭りのちらしだった。
『夏祭り 来てね』と、大きな文字で書かれていた。
 そうか、もうそんな時期かと思いながら、それを眺めていると、ぴんぽん、ぴんぽんと、信号機から音が鳴り響き、信号待ちだった人が、どんどん進んでいた。

 ふう、とため息をつき、机の上にスクールバックを下ろし、中から教材を取り出していた。
 正面の教卓の上には、先生の手帳と学級日誌が置かれていた。
やはり、朝の学活は終わってしまったようだ。

(後で、遅刻届を出さなきゃ………)

教卓をただ、ぼーっと眺めながら、さっさと1時間目の準備を始めたのだった。


第1話 終。