コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 花畑に迷い込んだ蜜蜂 ( No.5 )
日時: 2011/07/31 15:09
名前: 麻緒 (ID: NSUxBWjR)

【2話:勝手にライバル】

九条…有…。
葵の頭の中は完全に有でいっぱいだった。
勿論HRなど頭に入って居ない。

「葵〜。何してんの。行くよ。葵!」
平常心に戻ったのは果耶の声を聞いてからだ。
辺りを見回すと、もう誰も居ない。
「ほら。みんな第1体育館行ったよ。」
「え!!早く言ってよ〜。」
「さっきからずっと言ってました。」

小走りで体育館に行く。
まだ始まって居ないようだったので、二人は肩を下ろした。
「葵、どうせ九条さんのこと考えてたんでしょ。」
にやにやしながら果耶が言うので、葵は顔をそむけて、「別に」と答えた。
「…そういう果耶は?なんか、今朝、なんか言ってたじゃん。」
「う〜ん。まあ気にしてない事も…ないかな。」
重い目線に葵はまた首をかしげた。

終業式終了後…。
果耶は大きく体を伸ばした。
「っぬあ〜。校長話長い〜。」
葵も果耶も福岡県民では無い。葵は神奈川、果耶は愛知出身の為かスローペースで話す校長の話は苦手であった。
「果耶、それでも山田女子の生徒?しっかりと背筋のばして歩きなさいよ。」
「うるさいなぁ。私がこういう性格なの、知ってるでしょ?」
「ったく、濃い味好きの名古屋出身は違うわね。」
「葵…。それ以上いうと怒るぞ〜!」
果耶は葵を追いかける。葵は鼻で笑うながら逃げる。これは普通の光景であった。

「あ!葵。」
しばらく、走っていたため、葵は前を見ていなかった。
どっしりとした、男性の筋肉質の体にぶつかる。
葵は先生だと悟ったのか、すぐに起き上がり、制服を整え、姿勢よく構えた。
しかし、目の前にいたのは有だった。

Re: 花畑に迷い込んだ蜜蜂 ( No.6 )
日時: 2011/07/31 22:45
名前: 麻緒 (ID: NSUxBWjR)

「九条、有!」
葵は驚きを隠せなかった。
体が意外にごついというのもあったが、何より、勝手にライバル(?)だと思っていた有に面と向かっているのだから。
有は驚きながらも笑顔を見せた。
「はい?」
相変わらずワントーンか、ツートーン位違う声にも耳を研ぎ澄ませながら、なかなか手ごわい相手だと考える。
ここ笑顔をみせるというのは、快く許しているに違いない。
私だったら、完全に罵っているだろう。葵は思った。
「あら、やだ。私ったら、人にぶつかるなんて。ごめんなさい。」
丁寧にお辞儀をする。
何故ならこんな化けの皮はがしてやると誓ったからである。

「葵ー。不運だね〜。まさか九条さんにあたるとわ。」
「あら、果耶さん。私にとっては幸運だったわよ。」
平然とお嬢様口調の葵に果耶は少々怒りがこみ上げる。
早歩きの為、怒って居る暇も無い。果耶は続けた。
「どうしてよ。フルネーム呼び捨てだったじゃない。あれは完全に敵意むき出し。」
「やだぁ。私がフルネームで呼び捨てにしたのは意味があるのよ。」
「どんな意味よ。」
「初対面で九条さんなんてむずがゆいじゃない。メンチを切ってあげたのよ。わざわざ私から。」
相変わらずの態度に果耶は怒るというよりは、呆れてくる。

人が少くなってきた、廊下で葵の首元に大きく平手打ちを入れる。
「いったぁ。よしてください、果耶さん。」
「お前いい加減にしろよ。なんだよその口調。へっぴり腰が!」
続けて、葵の口をこれでもかというくらいに横に伸ばす。
「敵意むき出し。あんなんじゃ、九条さんの方が断然美人よ!」
ようやく離してくれた、口はひりひりして痛い。というか、しびれている。
「どこがぁ。あんなの…。あ…そういえば…。」
葵は眉にしわを寄せる。
そういえば、ぶつかった時…。
「九条有の体、えらいごつごつしてたな。」