コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 【オリジナル短編】赤い糸を結び直して ( No.18 )
- 日時: 2011/08/16 15:39
- 名前: peach ◆3Z7vqi3PBI (ID: fKZGY6mA)
- 参照: 黙って聞いててよ、お願いだから
「love×3」3/4
その日の放課後も生徒会があった。
生徒会で発行している新聞をパソコンで打つ作業で、大してパソコンに触らない私には酷なものである。
先輩三人と二年生三人。皆成績優秀で顔も別に悪くない。でもそこも私にはただ同じ人がいるようなもので、個性が欠けている。
・・・他の人の目にも、私は同じように映っている?
***
仕事が終わり生徒会のメンバーで帰ろうとすると、教室に数学一式を忘れてきたことに気がついた。
今日は塾の日で、先生に授業を先取りして教えてもらうためにも教科書は必要なものである。
だから途中で皆と別れ、教室に戻った。
戻ろうとした。
階段を上り、教室のドアを開けようとする。すると、中から人の話し声が聞こえたような気がした。
いけないことだと思いながらも、聞いてしまう。
小さくて鈴が鳴るような声が一気に何かを言い、20秒くらい間があった後、それと対照的な低い声がボソボソと何か言う。
それから1分くらいは静かなときが訪れて、私がどうしようかと迷うと。
目の前でドアが勢い良く開き、泣いた女の子が現れた。
同級生の下神胡桃。足が速くて勉強もそこそこに出来て顔もいい。私と同じ部活に入っていて、たぶん仲も良いのだろう。
「どいて!」
耳をつんざくような高い声で叫ばれて、反射的にドアを離れる。
それからやっぱり速い足で、廊下を走り階段を下りていく。
・・・何があったの?
おそるおそる教室の中を見てみると、そこに居たのは萩原だった。
***
窓から外を見ていた萩原は、足音で私に気付きこちらを向く。
「森口か。
今の見てた?」
「いや見てないけど。
何があったの?」
すると萩原は心底驚いたような顔をして、苦笑いをして答える。
「お前・・・何回もこんな状況に遭ってるくせにわかんないの?
告白だよ、告白」
「胡桃が・・・萩原に?」
「それ以外にありえるか?
机に告白されたりして」
泣いていたことから推測して、萩原は胡桃の告白を断った。
それだけならまだ、友達の失恋話として、慰めることですべて終わるのに。
「なあ、俺がなんで下神の告白断ったか分かるか?」
「・・・知るわけないじゃん」
「お前のことが好きだから。
だから断った」
友達が好きな人に告白されるとか。
「下神にも言っておいたよ、
『お前とは付き合えない、俺は森口が好きだから』って。
そしたら良いタイミングで森口が教室に来るからさ、下神は何て思っただろうなあ・・・」
しかも最悪なタイミングで自分がその現場に立ち会わせてしまうとか。
望んでもいないのに、私の平和な日々は崩された。