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- Re: 〜*日替わり執事*〜【第3話更新】 ( No.11 )
- 日時: 2011/09/10 18:33
- 名前: 棋理 ◆U9Gr/x.8rg (ID: 6Q1uGoC5)
第4話『人を見かけで判断しちゃ、ダメなんだからね!』
学校でも俺様系な蓮君に、見た目きつそうな翡翠さん。ショタでドジっこの緑君に、妖しそうな輝さん。まともそうなのは光さんだけかもしれない。そんな光さんが担当するのは月曜日。週の初めにまともな光さんが担当というのは、私にとって心の安らぎとなるかもしれない。……一人暮らしの方が安らいだと思うけれど。って、あれ?ちょっと待てよ……。担当が月曜日から金曜日までということは、土曜日日曜日の担当者がいないってこと。つまり……。
「土曜日と日曜日は一人になれるってこと……?」
「……お嬢様、どうかなさいましたか?」
「へ?あ、ううん。なんでもない……」
怪訝な顔をする光さんに笑って誤魔化す。どうやら思わず口に出てしまったそうだ。でも、つまりはそういうことよね?月曜日から金曜日までしか担当者決まっていないのでしょう?休日に一人っきりで家に居られるなんて……想像しただけで笑顔になっちゃう!一週間に二日だけだけど、その二日は私にとっては一週間の休暇をもらったOLさんのように嬉しい。そんな私の幸福に水を差す一言が、翡翠さんの口から飛び出てきた。
「ああ、ちなみに土曜日と日曜日は私たち執事が全員で、お嬢様の身の回りのお手伝いをさせていただきますから、そのおつもりで」
「………………」
「学校で毎日顔を合わせるって言うのに、そのうえ土日まで一緒かよ……」
「蓮、それは失礼じゃないかな?姫さんの顔を見られるなんて、けっこう美味しいと思うけど」
「ちょっと輝さん!ひ、姫さんってなんですか!?僕だって姫華先輩って呼んでるのに……」
頭が真っ白になっている私の横で、個性の強い執事さん達が各々言い合っている。……うん、あのね。色々と突っ込みたいんだけど、どれから突っ込めばいいのだろう。蓮君の言葉にはごもっともだし、輝さんが私の事を姫さんって呼ぶのもどうかと思う。けれど、最初から突っ込むとかなり時間が長くなるから、一番気になっていることを翡翠さんに聞く。
「あ、あの……」
「はい、何でしょうかお嬢様」
「えと……土曜日と日曜日に執事さん達が全員手伝いに来るって聞こえたんですけど……それ、私の聞き間違いですか?」
その私の問に、心底呆れるようなバカにするような溜息をする。そして恐ろしく冷たい声で私をなじった。
「ええ、言いましたよ。お嬢様に聞こえるように言ってさし上げましたのに、まさか聞いていなかったとでも?」
「き、聞こえていましたけど……」
というより聞かなかったことにしたい。
「もう一度言いますよ」
「は、はい……」
「私どもは奥様のお申し付けで5人派遣されました。けれど土日はお嬢様が一人になってしまいます。そこで奥様は土日は5人全員がお嬢様のお世話をすればよいと、我々に言ってきたのですよ」
なるほど……。やはりお母様が発案だったか。けれど5人ではなくて1人だけだったら別に良い。……こんな広い屋敷に年頃の女の子が執事と二人きり、というほうが問題あるとおもうけれど、少なくとも今はそんなことは良い。
「……そう、それじゃあ大まかな部屋だけ掃除してくれれば良い……です。あとは自分で出来ますし」
というかこの人達に私の部屋の掃除や洗濯を任せてはいけないと思うのは、私だけでしょうか。それに私、家庭科は得意だったりする。アメリカに行っていた頃は一人暮らしをしていて、家事はほとんど手を抜かずにやっていた。そもそも執事なんて私には必要ない。
「それはいけません。お嬢様の身の回りを世話するようにと、奥様からの言いつけです」
「で、でも大丈夫ですよ。こう見えても家庭科は得意ですし、アメリカに行っていたときは一人暮らしをしていましたし」
その言葉に5人の執事さん達全員が意外そうな顔をする。蓮君なんか「マジかよ……」とでも言いそうな顔をしている。……うん、この人達失礼じゃないかな?人は見かけによらないというけれど、私ってそんなに家庭科が不得意に見えるの?
「……分かりました。」
渋々といったように、翡翠さんが嘆息する。百歩譲ってあげましょうとでもいいたそうな顔だ。
「お嬢様の身の回りは、お嬢様にお任せします。その代わり、そのほか全てのことは我々に一任させてください」
「分かりました」
私も渋々と承知する。その翡翠さんの言葉に、執事さん達は妙に喜ばしそうな顔をした。おそらく、仕事が出来るというのが嬉しいのだろう。……うーん、仕事がない方が楽でいいと思うけどなぁ。
ともあれ、こうして私と5人の執事さんとの不思議な日常が始まったのであった。