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- Re: 〜*日替わり執事*〜【第5話更新】 ( No.14 )
- 日時: 2011/09/17 19:13
- 名前: 棋理 ◆U9Gr/x.8rg (ID: lIcPUiXw)
第6話『First Monday with 光』
「………うさま……じょうさま……お嬢様」
ん……こんな朝っぱらから誰……?私の体内時計的にはまだ6時ぐらいなんだけど。
「お嬢様、もう7時でございますよ」
「…………すぅ……」
「って、起きているのでしょう?寝たふりはおやめください」
ああ、バレた?起きるのが面倒だから寝たふりしたんだよねぇ。というか、なんで私の部屋に人がいるんだろう。そもそも、今日は何月何日何曜日?地球は何回回った?私の名前はHimeka Hanayashikiで、私立雨宮高校の2年で、昨日は確か羊さんたちが来て———
「……お嬢様、もしかして寝ぼけておいでで?」
「ふぇ?」
いまだかすんでいる目をこすって、焦点を定める。すると、私の顔の真ん前にかなり整った綺麗な顔が———
「………………って、ちょ、ま、な、」
「ようやく起きましたか。おはようございます、お嬢様。それから私どもは羊ではなく執事です」
「お、お、はよ、ございま、す」
「…………とりあえず100パーセントオレンジジュース飲みますか?」
「…………はい」
コップに入った鮮やかなオレンジジュースを受け取ると、一気に飲み干す。くっ、すっぱい。おかげで目が覚めたわ……。
そして気づく。私、パジャマじゃん、寝間着じゃん、寝起きじゃん。目の前にはかなり美形でそれはそれは綺麗な男の人。その人と自室で二人きり。……うん、これって———
「…………ちょっとやばくないですか?」
「ふぇ?何がですか?」
ダメだこの人、全く気づいてない。いや、まぁ確かにこんな紳士的な光さんが私をどうするとかはないと思うけれど、一応、ね。私17歳だし。年頃のか弱い女の子が異性と部屋で二人きりだよ?異性と意識されていないのか、それとも単に年下の子に興味がないのか。喜ぶべきなのかがっかりすべきなのか。
「お嬢様、もしかして低血圧でいらっしゃいますか?」
「……まぁ、じゃっかん」
「とりあえず、太陽の光を浴びましょう。時間があればシャワーでも浴びて目を冷ますのも良いですが、あいにくいまは———」
いまは……。ふと、二人同時に枕元の時計を見る。短針は7。長針は2。すなわち、7時10分。二人の間に異様な沈黙が流れる。
「「………………ち、遅刻っっっっ!!!!」」
起床から約10分。ようやく目が覚めた気がした。
「お嬢様、とりあえず朝食はトーストとコーヒーと野菜スープをご用意してありますが——」
「時間がないからパス!」
「で、ですがトーストだけは」
「新学期初日の女子高生か!曲がり角曲がったら転校生とバッタリでパンチラですか!?」
「混乱されているのは分かりますが、そのたとえは些か長いです!」
とりあえず、パニックだった。光さんを部屋から追い出し5分で制服に着替えると、リビングではきつね色のトーストにルビー色のジャムが塗られ、コーヒーと野菜スープが湯気を立てていた。シンプルだけれど、実に美味しそう。……しかし、それは時間があればの話し。
「と、とにかく行ってきます!!」
「あ、お嬢様!?車でお送りすれば、まだ時間が———」
「それだけは絶対ヤダ!!」
トーストをそれはもう少女漫画のごとく口にくわえると、屋敷を飛び出した。