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- Re: 〜*日替わり執事*〜【第7話更新】 ( No.21 )
- 日時: 2011/09/25 16:58
- 名前: 棋理 ◆U9Gr/x.8rg (ID: LOE5B.CX)
第8話『光 in Hanayashiki Home』
お嬢様が慌てて屋敷を出た後、静かになった屋敷を見回す。
それにしても……。
「本当に、大きいですね……」
今自分が居るリビングだけでも、50メートル走の練習が余裕で出来そうだ。昨日お嬢様に案内してもらった部屋も、どこも全て広かった。こんな所にお嬢様と旦那様と奥様、多くの使用人達が居たといえど、まだまだ余裕だと思う。
それなのに、お嬢様はこの屋敷で一人暮らしがしたいと仰っていた。けれど、こんなところに一人暮らしとなると、いくら何でも寂しいのではないだろうか。私でさえも、こんなに無音で大きな屋敷に一人でいたら、些か寂しい。
「たしか、書庫を整理しろと言われていましたね……」
私は寂しさを振り切るように独りつぶやくと、書庫を目指してこの広い屋敷の中を歩く。
———歩く。
—————歩く。
————————歩く。
「つ、着かない……」
歩いてかれこれ5分。まさか家の中でこんなに歩いてもつかないとは、全く思わなかったな。というか、景色が長い廊下と大きなドアがいくつもあるだけで、どこがどこだか見分けがつかない。とりあえず、もう少し歩いてみる。
また5分ぐらい歩くと、ようやく書庫に着いた。昨日お嬢様に案内してもらったとおり、大きな書庫には本で埋め尽くされていた。お嬢様に聞くと、これは全てお嬢様と旦那様の私物らしい。奥様は自分の書庫があるのでここをあまり利用せず、お嬢様と旦那様が集めている本だけがここにあるらしい。しかし、いくら何でもお嬢様と旦那様だけではこの量の本は集められない。曰く、お嬢様のお祖父様やお祖母様が集めていた本もあるらしい。
「本当にすごい量だな……」
私の背丈の何倍もある本棚に入りきらなかった量の本が、床に積み上げられている。その本も一冊一冊がすごい厚みで、ずっしりと重い。
この本の量を全て整理するのか……。
知らず知らずのうちに溜息が出る。正直言うと、お嬢様が家事のほとんどをこなせるとは思っていなかった。だから、屋敷の掃除などが出来るのではないかと思っていたが……。まさか、初日の仕事が書庫の整理とは。掃除がてらに部屋の場所を覚えておきたかったが。
———1時間後———
「ま、まだ終わらない……」
かれこれ1時間は掃除しただろうに、書庫の整理はまだ終わらない。本棚に入っている本もシリーズ順ではなくバラバラだったため、それをシリーズ順に並べているだけで1時間経ってしまった。本棚も埃が溜まっているから、いちいち埃をたたき落としながらのために、全く進まない。
「げほっ。げほっ」
———さらに2時間後———
「……ようやく終わった」
本棚の埃落としが。先ほどまでは本が床を埋め尽くしていたが、今は埃で床を埋め尽くしている。埃の匂いが書庫を埋め尽くす。
「窓を開けなくちゃ……」
私の背丈ほどにある大きな窓を開け放つと、ようやく外の新鮮な空気を取り入れる。
少し溜息が出る。いくらやっても片付かないことに、少し心が折れそうになる。というか、折れかけている。
時刻は10時。少し休憩しよう。ついでに、昼食何にするか決めなくては。
と、ここであることに気づく。
———お嬢様、昼食持って行ったっけ?