コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 〜*日替わり執事*〜【参照200突破記念SS更新】 ( No.51 )
- 日時: 2012/06/04 09:51
- 名前: 棋理 ◆U9Gr/x.8rg (ID: SGJxjeZv)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=22774
第15話『ツンデレって何あれマジ可愛いんだけどってか嫁に来て欲しい』
「おい、なにしてんだよ。行くぞ」
「え、ちょ、待って」
登校する時間になると、執事服から制服に着替え終えた浅倉君が、ぶっきらぼうに言った。
対する私は、制服の上からしていたエプロンを慌てて外し、姿見で身だしなみをチェックする。
……うん、大丈夫かな。
「にしても、女って本当に出かける準備とかおせぇのな」
「違うって。私は、洗濯物干してたの」
「洗濯物? そんなの帰ってきたらやりゃ良いだろ」
「そういうわけにはいかないでしょ……」
今日は見事な快晴なのだから、その空の下で干してあげなくては洗濯物も可愛そうだ。 干して気づいたのだけれど、青空の下で風に靡く白いシーツって、すごく絵になるのね。今まではお手伝いさんとかに任せていたから分からなかったけど……。
うん、やっぱり自分でなにもかもやるってすばらしいわ。
「それにしても、浅倉君も一緒に学校に行くのね」
「ああ? 行っちゃ悪いかよ」
「そうじゃなくて……。てっきり家に残って仕事するのかと思ったから」
「なんで俺がお前の家のことやんなきゃいけないんだよ」
「いや、さっき私の朝食作ってくれたんじゃ……」
「あ、あれは別に……。お、お前の為じゃねぇし!!」
再びそっぽを向いてしまう浅倉君。
うーん……。この機会に乗じて少し距離を縮めようと思ったんだけど……。やっぱり花ちゃんを通じてじゃないとダメなのかな。
浅倉君はどうだか知らないけれど、私はもう少しお近づきになりたい。
それもちろん、(一応)執事とお嬢様という関係なのだから、関係が良好でないといけない。けれど、私は“クラスメイト”として、浅倉君と仲良くなりたい。
昨日のアホな友人に対して相談した結果、浅倉君は『ツンデレ』という性格らしい。よく分からないので調べてみたら、何個かその性格の対処法があるらしいことが分かった。
よし、早速試してみよう。
「ねぇ、浅倉君」
「ん? なんだ」
「蓮くんって呼んじゃ、ダメ?」
「ぶはっ!!」
いきなり吹かれた。
これは、効果が有りってコトで良いのかな?
「お、おおおま、おまえなぁ!? な、何言ってんだよ!?」
「……ダメ?」
意識して上目遣いにしてみる。
すると、浅倉君は顔を真っ赤にして、顔をふいっとそらした。
「べ、べつに、んなんじゃねぇよ……」
「じゃ、呼んでも良い?」
「す、好きにすればいいだろ! その代わり——」
「その代わり?」
浅倉君は一度言葉を切ると、私の顔から視線を外したままぼそっとつぶやいた。
「お、俺もお前のこと、名前で呼ぶから」
……うわぁ。
効果あるすぎなんじゃないかな? まさかここまで郷里が縮まるとは。
っていうか、浅倉君の場合。私のことはいつも『お前』って呼んでた気がするなぁ。
ともあれ、名前で呼ばせてくれるからお礼を。
「ありがと、蓮君」
「お、おう……。姫華」
なんかこそばゆい気がするけど、これは良い一歩を踏めたよね!