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Re: 〜*日替わり執事*〜【第2話更新】 ( No.8 )
日時: 2011/08/20 18:10
名前: 棋理 ◆U9Gr/x.8rg (ID: jTmVOfr9)

第3話『この展開、どんな乙ゲーよ』

そうこうしている間に、リビングについた。テーブルの上には宝石のようなフルーツやマカロンが用意されている。

「アフターヌーンティーの前に、自己紹介してくれる?」
「かしこまりました」

私の言葉に恭しく眼鏡の執事さんが頭を垂れる。……うーん、こういう状況は本当に苦手だ……。

「それでは担当曜日順にいきます。光」
「はい。私は神谷光と申します。月曜日担当で、家事全般を得意としております」

光さんは私をエスコートしてくれた執事さんだった。くせっ毛のない茶髪に、整った鼻筋。街を歩けば必ず女性が振り向きそうな、とても美形さんだった。そのうえ笑うと意外にもえくぼが出来るのがなんとも可愛らしい。次にその隣にいる……なんかすっごい見慣れた人が挨拶をする。

「俺は火曜日担当の浅倉蓮だ。っつーか自己紹介しなくても良いだろ、俺は」
「ダメですよ、蓮。蓮の同級生としては自己紹介しなくても良いですが、今はお嬢様と執事の関係です。口を慎みなさい」
「へーい」

ぶっきらぼうな挨拶に、隣にいる光さんが嗜める。そう、浅倉連は私の同級生。ってちょっと待て。色々待て。

「な、なんで浅倉君が私の執事なの!?」
「べ、別に良いだろ!同級生が執事になっちゃいけないのかよ」
「そういうわけではないけど……」

なんかすっごい気まずい。私と浅倉君は特に仲が良いって訳でもないけれど、やっぱり同じクラスなので話すこともある。それなのに、私の執事になるって事は少なからず学校生活にも影響が出る。ないとは思うけれど、私の事を「お嬢様」って言われたらたまったもんじゃない。でも……意外だったな。

「私は水曜日担当の柿沼翡翠と申します。一応この執事の中では年長者なので、何かお困りのことがあれば何なりとお申し付け下さい」
「わ、分かったわ……」

翡翠さんはその名の通り、とても眼が綺麗な方だった。眼鏡越しというのが残念だけれど、うっとりしてしまうような色。切れ長で物事の全てを見るような鋭い目つきとのギャップに、正直とまどってしまった。そして次は……これまた見覚えのある少年だった。

「次は僕ですね!僕は木曜日担当の林原緑です。失敗ばかりしちゃうかもしれませんが、僕、頑張りますね、先輩!」
「緑、先輩ではなくお嬢様とお呼びしろ」
「あ、あわわ。ご、ごめんなさい!」

とても慌ただしく挨拶をするのは緑君。……私の高校の後輩だった。学校ではマスコットキャラとして人気があるほどの容姿で、ショタ属性の女子にはたまらないらしい。……お母様が選んだ理由が少し分かる気がする。とは言っても、私はあまり緑君とは仲が良いわけではない。けれど何故か一方的に懐かれてはいる。

「じゃ、最後は俺かな?俺は月風輝。よろしくね、お嬢様」

そういうと輝さんは私の前に来て、手を取る。そして手の甲に恭しく口づけをした。
私はその動作に驚いたけれど、それも一瞬だった。その反応に気を悪くしたのか、輝さんは不機嫌そうに顔をゆがめた。

「あれ、もっと驚くかと思ったのに。もしくは顔を真っ赤にするとか」
「そういうのはまぁ慣れているので」
「へぇ。それじゃ経験豊富とか?」
「そういう意味じゃありません!」
「おい、輝。いい加減にしないか」

ここでようやく翡翠さんにとがめられる。どうやら輝さんは見かけによらずそうとう妖しそうだ。名前もなんか宝塚っぽいし、すらりとした長身や手足に魅せられる女性は数多そう。ルックスも甘いし、女性にはたまらないんだろうなぁとは思った。
そして何よりこの執事さん達を見て思ったこと。



—————どんだけ個性強いんだよ。