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Re: 災厄の魔女の契約書 お便り的なもの募集!! ( No.160 )
日時: 2011/09/16 17:58
名前: 琉架 (ID: MnBE3vuR)

16話「あんたとあたしとカギ」



——怖い…ねぇ

アリアは指で曇ったガラスに触れる

今にも皹が入って割れそうな灰色の曇りガラスに触れる
薄く脆いガラス

アリアはもう片方の指で曇ったガラスに触れる

叩いても壊れなさそうな灰色の曇りガラスに触れる
厚く強いガラス

薄いほうはテンマへの愛
厚いほうはテンマにかけられた呪い

「アナタは≪災厄の魔女≫なんだから……
 怖がったら駄目でしょうに」

そしてアリアはテンマの前へ出て『雨戸くれな』の事を話し、
テンマを含めた14人の呪われた悪魔の事を考える

——あの悪魔たちの力を『雨戸くれな』の持つ『カギ』に込める
   そうすれば、きっときっと…テンマの恋は叶うはず

「ねえ……アリア、多分だけど『閉鎖—ロック—』をそのまま『カギ』で開ける事は無理だよ」
「………なんでそう考える?」
「『閉鎖—ロック—』はあたしの最高の魔力でも壊せなかった
 なら『カギ』だけじゃ開くはずが無い、そうでしょ?
 だから何かに手伝ってもらう」

——へぇ……そこまで察するのか………

「アリア、あたし零兎に本当の気持ちを言ってみる」
「…本当の気持ち……わたしが手伝ってあげる
 『アナタ』の為なら構わない」  
「零兎が幸せになれるよう
 『雨戸くれな』をずっと『愛せる』ように
 あたしは『カギ』を使って『閉鎖—ロック—』を開ける
 そしてあたしの記憶を消してまた『0—始まり—』からやり直す」
「『アナタ』がそれを『望む』なら
 ≪災厄の魔女≫がそれを『望む』なら」

アリアは悲しげな笑みを浮かべてテンマの方を向いた
その顔は強く気高い者の顔だった

そして

「わたしは『望み』をかなえてあげましょう」






テンマは笑う








「————さよなら、零兎」