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Re: 災厄の魔女の契約書 お便り的なもの募集!! ( No.169 )
日時: 2011/09/17 16:14
名前: 琉架 (ID: MnBE3vuR)

18話「愛してると愛されてる」




「『嘘』でしょ………
 だって知ってるもん…
 零兎が『雨戸くれな』の事を好きなの……」
「それは『好き』だろ?」
「ほら『好き』なんじゃん!!」
「俺はテンマを『愛してる』!!!
 それでも納得できないか!?」

叫んだ
零兎は叫んだ
全ての物を捨てる様に叫んだ

「でも、でも、でも!!!
 あたしも零兎を『愛してる』よ………
 でも零兎は『ニンゲン』だよ
 あたしは『ニンゲン』じゃない…!!」

「だったらおまえは諦めるのかよ≪災厄の魔女≫」

低くそれでいて心地よい声が聞こえた

声の主は諸刃だった
真っ直ぐテンマの眼を見つめていた

風になびく髪も揺らがない瞳も
軽く動かす口もなにもかも諸刃は神々しかった

また声が聞こえた

「まあ、諦めが悪いほうが面白いんじゃないッスか?」
「諸刃と…オーヴァイス……」
「レイでいいッスよ」
「別に、あたしが呼びたいように呼ぶわよ」
「………あんたは本当に『魔女』ッスか?」
「なんで?」
「なんか『悪』に見えないッスよね」
「…そうだね、仲間になるならいいこと教えてやるわ」
「………楽しそうだな…」

「だから、零兎……
 あたしは諦めない
 絶対諦めないんだから…!!」
「うん」
「零兎が本当にあたしの事…あたしの事見てくれる時までずっと諦めない!!」
「うん」
「『愛してる』よ、誰よりも…ずっと…ずっとぉ!!」
「うん」

泣きじゃくるテンマを慰める零兎
零兎の顔は優しげな、そんな顔だった

——『愛してる』、ね…俺には無縁の言葉だな……

諸刃は一人、2人の事を眺めながらそんな事を思っていた

「テンマ、俺は確かにくれなの事が『好きだ』
 でもテンマの事は『愛してる』んだ
 『嘘』だと思ってもいい、いや『嘘』じゃないなんて言っても説得力なんか無いよな…
 それでも俺はテンマの事を『愛してる』んだ」
「…………約束だよ、あたしの事『忘れても』ずっと『愛して』てよ」
「なんで『忘れる』んだよ」
「えへへ…」

そんな2人を眺めていた諸刃は思う

——仲睦まじくってこういう事を言うのか…
   まあ同じ『悪魔』としてよかったというのか……
   でも………テンマはこの後の『悲しみ』に耐えれるかが問題だ
   テンマが『崩壊』を呼ぶ可能性は高い
   テンマが『ニンゲン』に戻れない可能性も高い
   ……零兎の『愛』が本物だったら助かるかもな







——————テンマの心は——