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- Re: 災厄の魔女の契約書 番外編アンケ、再度実施中!! ( No.205 )
- 日時: 2011/10/07 18:23
- 名前: 琉架 (ID: MnBE3vuR)
22話「不幸の終わり」
ふと、クレセがテンマの方へと指を向ける
水色の髪の間から見える目は獲物を狙う獣の目だった
「終戦、だ」
「あ、クレセ・ムーじゃない…何?戦うの?」
そしてテンマも指を向け魔方陣を書きはじめようとした
が、その時、場にいる全員の脳裏に言葉が浮かんだ
いや、言葉がねじ込まれたのだ
《ニイサン?ワカル?オレノコト》
時々プツプツと切れる機械質な声に零兎は聞き覚えが無かった
まったく無機質で心などこもっていないような
地の底から湧き上がってくるようなそんな、嫌な感じだった
《アア、ヤッパリワカラナイカ、ナラ、「アマト クレア」ってシラナイカ?》
「アマト クレア」その名前に覚えはあった
少しだが、どこかで聞いたことはあった
「雨戸 くれあ」、それはくれなの弟の名
《ホラシッテタ、ダッタラオモイダシテヨ、ニイサン、「ホオズキ カイト」ヲサ》
またも頭痛が走った
零兎は頭を抱える
それでもその声は続く
《…マアイイヤ、ニイサンハ、オイ、クレセ、ヒキカエシテコイ》
「魁斗…分かった」
《ソレジャアネ、ニイサン、ダイジョウブ、ニイサンハモウシアワセダヨ》
「幸せ」それは零兎が最も望んでいたものだ
《サア、カエロウカ》
クレセ達は去っていた
テンマは目を閉じて声の主、「ホオズキ カイト」を探っていた
アレンも何か深刻そうな顔をしていた
そしていつの間にか諸刃達は居なくなっていた
「………零兎、帰ろ、あたし帰りたい」
か細い声で零兎の名を呼ぶテンマ
今のテンマは「栗鼠 天魔」に戻ってたけど
天魔はもう探り終わったのだろうか
「零兎、大丈夫、本当に本当に幸せになったよ」
アレンも儚げな、柔らかな笑みを浮かべた
「って、ここ教室だったっけ、みんなは……」
数秒後、教室の時間は動き出した
何事もなかったのよう
「あれ?なんで零兎、そんなとこで固まってるの?亜恋も天魔ちゃんも」
声をかけたのはくれなだ
「あんたは雨戸 くれな、」
「くれなでいいよ〜」
明るい笑顔
天魔もぎこちないが笑顔を作っている
「うん、くれな、よろしくね」
零兎は思う
——————ああ、幸せだね——