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- Re: 災厄の魔女の契約書 番外編アンケ、再度実施中!! ( No.209 )
- 日時: 2011/10/14 20:14
- 名前: 琉架 (ID: MnBE3vuR)
23話「運命とはぐれ者」(長め)
「そういえば、天魔ってどこに住んでんの?」
「あたし?う〜ん、異次元と三次元の狭間に住んでるよ」
普通の人が聞いたら「!?」など可笑しいと思うだろう
しかし、彼女、栗鼠 天魔が言ってることは正しかった
紫がかったロングのツーサイドアップ、黒よりの灰色の可愛らしい瞳
高校生とは思えない、小柄な容姿に少し浅黒い肌
坂内高校のセーラー服を少し灰色にし、黒曜石を嵌め込んだ首輪に似たものを首に付けてる
彼女、栗鼠 天魔は喩えれば高い高山の上にふと咲く、薄桃色の桜
実際には黒っぽいんだけど
「零兎になら、なんでも話すよ……零兎には、ね」
と細い指を口に添えて小首をかしげる天魔
紫がかたった長い髪がふわりと揺れた
それに凡人だった高校一年生、零兎が不覚にもドキッとしてしまい、天魔はそれを悪戯気に笑った
「それで、ね?零兎にあたしから質問、このレターはなぁに?」
「………なんでしょ……」
「あれ?白を切るつもり?隠し事は駄目だよ零兎」
にこやかでどこか恐い天魔の笑顔に零兎はなにも言えなくなった
「…………いいの…別に、だって零兎の勝手だもの……ごめんね」
「別にラブレターって決まったわけじゃない、告白でも行って断るよ」
「なんで断るの?」
「俺は天魔が好きだからね」
昼休み、ほぼ誰も来ない、屋上で2人は話してる
そしてピリ…とレターを開ける
中には素朴な紙が一枚、それを開けると、「放課後、屋上に1人で来て、待ってる、絶対に来て」
それだけ書いてあった
「素朴すぎる……」
「断るんだよね?あたし零兎を信じてるから」
「うん」
そして放課後まで、何時も通りに進んでいった
「屋上、到着」
と言い、屋上への扉を開ける零兎
そしてドアの向こう、そしてフェンスの向こうに美しい少女が居た
「って、何してんだよ!!」
「黙って」
凛とした透き通った声、まるで波一つたっていない泉の様
「あたし彩音 碧天
ねえ、あんたは運命って信じる?
定められた時間、
それから外れて生まれたのがあたし
あたしはくれなと表裏一体の存在
あたしはくれなの≪カギ≫を入れるモノを持っている」
彼女の名は『彩音 碧天』
彼女は美しかった
黒と銀の混ざった輝く長髪に、大きがちなつり目気味の瞳
漆黒の、奥が深い、こちらも綺麗に透き通った様な眼をしていた
彼女は天魔よりも可愛らしく
くれなより美人だった
「あたしは≪悪魔≫でも≪魔女≫でもない
かと言って≪人間≫でもない
あたしは穢れな『1つ』の≪堕天使≫…………—————」
遠くを見つめる彼女の眼は少し悲しげに濁っていた
「≪堕天使≫?え?まさか、電波さん?」
「やっぱり理解し難いか……変人ではないの、まして電波でもないの」
「あはは…で、≪悪魔≫とか≪魔女≫とかが本当にいると思ってる?」
「………『リリス・テンマ』『クレイド・アレン』…貴方の周りにいる≪魔女≫」
「なっ」
「≪魔女≫や≪悪魔≫が居るなら≪天使≫や≪神≫、≪堕天使≫が居たって有り得るでしょ?」
事実だった
二人共≪魔女≫だったのだから
「あたし、今から一度、死んでみるの………生きてる意味が無いから
だから……、だから、ね…伝言を、≪犠牲者≫…≪守護者-ガーディアン-≫に伝えようかなって」
「ちょ、話が読めないんだけど」
「……いいから聞いてて
≪災厄の魔女≫の≪契約書-コントラクト-≫にサインした≪守護者-ガーディアン-≫よ
…主はこの先、耐え難い≪運命≫と戦うことになる
心に、真実に、自分に、本当に≪愛すべき存在≫を伝えておけ
いつか、いつかきっとその≪愛すべき存在≫は主にとって最も大切なものになるだろう……………
それじゃ、バイバイ…」
そのまま碧天は下へ、地面へ…
——————————堕ちていった—————