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Re: 災厄の魔女の契約書 魔女と悪魔のオリキャラ募集したり ( No.25 )
日時: 2011/08/28 21:04
名前: 琉架 (ID: MnBE3vuR)

2話「60秒だけの死」



「テンマ」

——呼んでる
  彼があたしを
  呼んでる

  行かなきゃ


  逢いに行かなきゃ


「行かせないッスいや、行かせれない」
「あんた誰、あたしは零兎に逢わなきゃならないの
 あたしの邪魔するなら容赦なく消えて貰うよ?」
「そうッスか、消えるのはアンタら魔女や悪魔だ」

——そ、なら殺すしかないわね
  あたしは今、今すぐに逢いに行かなきゃならないの
  彼が待ってるから
  あたしを思い出してくれたから

「あたしの首を絞めてる手をどかしなさい」
「いやだね」


「なら………」

彼女は何かを唱える
悪魔や魔女達にしか聞こえない
人間の可聴音域を超えた高い声で

「何ッスか?
 魔法?良いよ?」


「出来た…待っててね
 後一個
 完成したら行くから」

また人間の可聴音域を超えた声で
魔法を唱える

細い指からは青白い光がもれて
2つの魔方陣が出来た

——待ってて後少し、60秒だけ……
  零兎…助けに行くからね

「放て!!」

少し驚いた顔をする少年が居る
自分とは同じくらいの背丈だろうか
小柄なのに力強い体の少年が居る

——背丈は同じ位なのに、あたしより腕力が強い…ね


するり、と
首を絞めていた手から抜ける

「くそっ」
「あたしは助けないとならないの!!
 愛してるから…零兎を愛してるから!!!」

少女は暗い崖の底ヘ落ちていった


——今助けるから





零兎は意識が朦朧とする中
不思議と少女…いや魔女の「リリス・テンマ」との思い出を
思い出していた
これが相馬灯と言うのか

そしてあの夢を思い出して
意識を放した
その次の瞬間
美しい少女が現れた

「零兎!!…………待ってて、あたしが零兎を助けるから
 もう1度生き返らせるから」

と、言い零兎の体にあいた2つの傷口を指でなぞり
少しとがった歯で噛みついた
血を少しずつ吸っているように見えるが
血など一切吸っていない
体の毒だけを吸っているのだ
あの時に放たれた毒の塊の弾丸、
その毒だけを吸っているのだ

——大丈夫、きっとあたしならこれ位で死なないから
  零兎を助けるまで死なないって決めたから……

「くっ………ケホッ…全部……吸えたよ」

と言う少女と
生き返ったのか分からないが目を閉じている少年を見つめる影があった

「≪崩壊を呼ぶ災厄の魔女≫…………
 私が殺せるの?
 

 あの魔女の愛は私より強い………
 私の零兎への愛は劣っているのかな?
 命を賭けれないなんて……
 
 いや、愛しちゃダメなんだ」










「零兎を殺さないといけないから」