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Re: 魔女守り! ( No.111 )
日時: 2011/11/19 18:22
名前: 由羽 (ID: mOKQW.49)
参照: 小説の賞に応募したいです!

「噂をすれば」

 ユエルが唐突に手前の人物を指さし、言いだした。

「あれが陽光君」

 手前にいるのは何やら黒いオーラをまとった少年だ。
 身だしなみは気にしていないのか、野暮ったい髪に飾りっ気のない学ラン。

「なぜに学ラン……?」

 ノゾミが正直な感想を述べた途端、

「ひったくりーっ!」

 女性の悲鳴が響いた。

「魔法使いか!」

 走り出すノゾミ。

「えっ、あんた魔女守りでしょ」

「かんけーない」

「……ったく、熱血なんだから……」

 あきれた声でそうつぶやいたアネモネ。

 だが——、

「クレセント・オブ・クオリア第一の舞、クオリア」

 目の前に走ってきた魔法使いに感情のない声で言い、切りつける。

「…………」

 ぱたり。

 数十秒後に、静かに倒れる魔法使い。
 それを見て、ふん、と鼻を鳴らしたあと、もう一度、剣のような武器を振り上げる。

「っ! おいそこの冷血人間!」

 ぴたり。
 剣先が胸につくかつかないかというところで剣を止めた。

「……振り下ろすな。何もそこまでしなくていいだろ」

「こいつは悪だ。制裁して何が悪い」

「境目をつけろ。今、この魔法使いは気絶している。それを連行して終わらせればいいだろ?」

「別に正義だの悪だの関係ない。俺は己の正しいと思ったことをやるだけだ」

 何こいつ、第二のレイスが! と、怒鳴ったとき、後ろから「悪魔っ!」というかわいらしい声が聞こえてきた。

「ノゾミちゃん……だっけ。こいつ、みんなに悪魔とか死神とか言われてる。ありえないやつだよ。何言われてもケロッとしてるし」

 ユエルが怖い顔をして、ぎろり、と、陽光をにらんだ。

 そんな奴だったのか……と、アネモネは頭を抱えた。