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Re: 魔女守り! ( No.120 )
日時: 2011/11/19 18:26
名前: 由羽 (ID: mOKQW.49)
参照: http://ameblo.jp/686-7777/image-11018832468-11484948944.html

 ふんふんふーん♪
 知らぬ間に鼻歌を歌っていたらしく、妙な目で隣のアネモネに睨まれた。恥ずかしかったのか、とっさにノゾミは言い訳をする。

「こんないい天気、何も事件が起こらなそうなんだもん! ほら、よく言うでしょ? 『探偵の行く場所には必ず事件が起こる』って。だからなんとなーく、いつも行く場所行く場所に事件が起こりそうでさー」

「どんだけ神経使ってんのよ。ってか一番一緒に遠出したくない三人にあっちゃっただけで事件っしょ」

「聞こえるわよぅ。斜め前の席の人にぃ」

 わざと実名は伏せていたが、すぐに斜め前で腕を組み、目を閉じている陽光のことだとわかる。

「おねねさん、アネモネ、ばれるよ。声のトーン落として」

「でも、あいつは嫌いです」

「サーシャ、聞こえるぞお前も」

「おうっ!?」

 いきなり隣から声がした。通路を挟んだ隣だ。
 そこには、「でも、クオリラ様……」と、ぶつくさ言うサーシャと、口をふさごうとするクオリラの姿があった。

「いいから黙っとけって」

「……あんたら、いつの間に隣に……」

 眉間にしわを寄せ、親密な顔をして聞いた。

「気づかないなんて、バカ。あ、あと二つでおりますよ」

 サーシャは、あと二つで降りるらしい。
 ノゾミたちはあと三つなので、行先は違うらしい。ほっ、と胸をなでおろす。

 ぷしゅう〜、となんともまぬけな音がして、ドアが開いた。
 乗ってきたのは、覆面をした三人組だった。

「……怪しい」

 誰もがそう思ったであろうことを言った、その時。
 覆面三人組が運転手に近づいた。
 それから何度かのやり取り。ノゾミの席は死角があり、ちょうど見えない。
 ち、と舌打ちをする。何が起こったのか、乗客は分かっているのだろうか、乗っていた赤ん坊が泣きだした。

「おい静かにしろ! いいか、俺らはこのバスを、」
 あああいわないでくれ面倒くさい、と、必死で願うも、予想的中の単語を口にした。

「ジャックした! おいバスだせっ!」

 あーあ、いい天気なのに、と、ノゾミは窓の外を見た。
 拳銃を振り回しているバスジャックの三人組がいる車内とは全く違い、窓の外では雲一つない青空の中央に、お天道様がにっこりと笑っていた。