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Re: 魔女守り! ( No.134 )
日時: 2011/11/19 18:35
名前: 由羽 (ID: mOKQW.49)
参照: 魔女守りの波、こいっ!

「ああー、ダメだこいつ、手ぇ震えてる」

 陽光を見てため息をついたのはノゾミだ。
 今行ってはダメということが分かっているのだが、どうしても、彼は武器に手を伸ばしてしまう。その手を止めるために、反対の手を重ね、さらには震えだした。

「お、武器に手を伸ばしたー。でも止めたー。お、また伸ばしたー、また止めたー、なんという精神力なのでしょうか」

「あんた、説明しなくていいから早くあいつら攻撃しろよ」

「アネモネ、いちいちうるさいよ。面白いんだもん」

 おいおまえなあ、と、突っ込んだアネモネの横を突っ切ったのは——、

 サーシャだ。

「あなたたち! いま、クオリラ様は車酔いなのです! 今すぐ止めなさい!」

「おい……いいって……」

 凛々しく突っ立っているサーシャの服の裾を、弱弱しくつかんでいるのはクオリラ。気のせいだろうか、顔は青白いを超え真っ白だ。

「って、止めるわけないだろ! 今の事態把握してんのか!?」

「お構いなく、バスジャックの皆さん。そっちがその気なら、強制的に行きますので」

 そういって、サーシャは腰についた銃に手を伸ばす。

「おお、なんか戦闘物みたくなってきた」

 おまえ、他人事だなぁ、と、ノゾミはため息をついた。



 まるで戦闘物だ——。
 誘拐犯を追い詰めた魔女狩りさんの動きを見ていたら、そう思ってきました。
 と、言っても、車の中でひっそりとみていただけですけど。
 僕は、隣で目をキラキラさせているノゾミさんにびっくりしました。
 今まで、この人のこんな生き生きとした顔を見たことがなかったので。

「あの、ノゾミ……さん」

「ノゾミでいいよ。何? クロ」

「かっこいい……ですね」

「うん! あたし、将来、こんな人になりたい! 魔女を狩って、みんなを助ける、魔女狩りに!」

「なろう!」

 僕は、彼女の手を握りました。反射的に。
 へ? と、ノゾミさんはすっとんひきょうな声を出しました。

「僕もなりたい。魔女狩りに。一緒になろう!」

「クロ……うん!」

 にこりとわなった彼女は、とても——、とても、凛々しかったんです。