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Re: 魔女守り!【人気投票実施中!来てねー!】 ( No.171 )
日時: 2011/11/19 18:48
名前: 由羽 (ID: mOKQW.49)
参照: 人気投票開催中!!

 そのまま部屋を出て、数分後にはアネモネを見つけた。
 紅いカーディガンに茶色のワンピース、シンプルなブーツ。
 気合が入っている気がする。

「合コンに行くのかこいつ。面会の後に」

 それはさすがにないだろう。
 そうこうしているうちに、魔女狩り本部にたどり着いた。

「ふっ。あたしはみんなにがん見されてもいいように、サングラス着用なのだー!」

 思いっきり怪しい人に見える。

「便利なんだよなー。いいなこれ」

 サングラスのありがたさに気が付いたノゾミだが、中に入ろうとすると、「あやしいやつ!」と、門前払いだ。

「なんでなんだよう……」

 結局その日は中に入れずに、あきらめて道を引き返した。
 きっと、サングラスをとって中に入るという選択肢はなかったのだろう。

「暇になるなー。あ、クロ誘ってどこか行こうかな。遊園地とか。パーッと行こう、パーッと」



——その頃、アネモネ。

「面会時間は十分だ。それ以上はしないように」

「はい。わかってます」

 いつものことですから、と、下を向き小さく言う。あたしがもう何年、ここに通っているのか知ってるのか。それぐらいわかってるっつーの。
 いつもの金属が擦れた嫌な音がして、ドアが開く。
 中から出てきたのは、ぼさぼさの髪の男性だった。

「……久しぶり。何日ぶりだっけ。ちゃんと食べてる?」

 それから、相手の返事を待たずに「座って?」と促した。

「ねえ、ルナ。あたし、背が伸びたの。十五歳とはいえまだまだ成長期。……聞いてる?」

 うつむいたままのルナに、心配そうに声をかける。
 それから数十秒待ったが、ルナは薄い、白い唇を開こうとはしない。

「ルナ……?」

「アネモネ」

 おう、とアネモネはのけぞった。第一声が自分の名前とは。

「俺な——、実は、」
 そこで、声のトーンを落とした。
 そばにいる、二人の看守に聞こえないように。

「脱獄しようと思ってるんだ」

 相変わらず下を向いたままだったが、はっきり聞こえた。
 これは、絶対、脱獄という言葉を使った。

「……ルナ……」

 何があったかはわからないが、アネモネは次の言葉を、緊張が顔に出ないように、静かに待った。