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- Re: 魔女守り!【人気投票実施中!来てねー!】 ( No.176 )
- 日時: 2011/09/22 19:52
- 名前: 由羽 (ID: z1wpqE.E)
- 参照: 人気投票開催中!!
ルナが薄い唇を開いたのは、それから数分待った後だった。
根気強い性格でよかった、あたし。と、アネモネは安堵。
「最近、看守の目を盗んで掘りつづけてきた穴が通過したんだ。今は通り魔事件で神経がそっちのほうに行ってるし、やるならいまだ」
通り魔事件とは、最近『ジャック』と、名乗る通り魔が、次々と人に襲い掛かっている、魔女事件だ。そのため、今魔女狩り本部はピリピリしているし、全力を注いでいるらしく、今は看守の目がゆるいようだ。
「昨日、夜中に一度通ってみた。そしたら、魔女守り本部の目の前に来て。アネモネなら協力してくれると思ってさ。……協力してくれるか?」
「って、まって!」
ガタン、と勢いよく立ち上がる。室内は暑いので、顔が蒼くなっているのがばれないかもしれない。
「いきなりそんなこと言われても……」
看守はにやにやしているので、告白の類でもされたのだと思っているのだろう。
それを確認し、感情をコントロールして、なるべく恥ずかしがってみる。ここは誤解されておこう。
「ルナ……確かにあたしとルナは幼馴染だよ……でも……」
ううん、幼馴染なんかじゃない。あたしはルナが……。
そういおうとしたが、ルナに先を越される。
「アネモネ。悩むと思うが、考えてくれ。俺が脱獄をした後、一晩かくまってくれたら、それでそのあと、俺は消える。迷惑はかけない。見つかった場合の責任はすべて、」
次の言葉は聞きたくなかった。
そんなこと言われたら協力してしまいそうになる。
あたしは魔女守りだ。悪を倒し、正義を貫く。
それなのに、それなのに——。
「わかった」
うなずいてしまった。
あたしはなんなのだ?
さっきの言葉は自分が言ったのか?
ルナが言わせたのか? 違う。あたしだ。あたしが言ったのだ。
「じゃあ、明後日の夜、決行する」
時間だ、と看守の声ではっきりとは聞こえなかったが、アネモネにははっきりと、体の芯まで届いた。