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Re: 【四章終わり】魔女守り!【人気投票実施中!】 ( No.258 )
日時: 2011/10/02 19:55
名前: 由羽 (ID: Lay1j2X4)
参照: ついに最終章突入!

——平和など、まだ訪れないのだよ——

「……くっそ……動かないか……。クロ、あんたは?」

「無理です。ノゾミさん。きっちりと縛られています」

 暗い部屋の中に、彼女たちの声が響く。
 暗闇に慣れてきた目に映るのは、ほこりにまみれた机といす、床に散乱する何かの図面。

「束縛プレイは趣味じゃないんでね」

 強がってみるが、ガチャリと音を立てて開いたドアに、肩を震わせる。

 何とかならないのか——。

 悔しそうに顔をゆがめながら、歯切りをした。



 ——数時間前——

『現在、パレードは何事もなく、無事に行われています』

 赤、黄色、青——、様々な色で彩られた車が、テレビの端に映る。
 カメラが、有名な女子アナウンサーから、車の上にいる人物を映し出す。
 白いひげが目立つ、やさしそうな人。年は五十代を行っているかどうか——、顔だちは若めに見えるが、口元には、笑いじわが目立っている。

「うわ、やってるね。総理のパレード」

 食堂のテレビの前で、頬杖を突きながら言うのは、ボブヘアーが目立つ少女。

 背が高く、声から想像される歳よりも何歳か上に見える。その少女は、強気な眉を、困ったようにハの字に曲げ、ため息をついた。
 少女——、ノゾミ・ダリアスは、昨日配られた、モノクロコピーがされているプリントに目を落とす。
 そこには、『明日の総理の誕生日パレードに、紅い華が咲くだろう』と、何とも着飾っている文字が書いてある、カードが印刷されていた。

「昨日警察に届いたカード、民間人には知られていないんでしたっけ」

 ノゾミの隣に、黒いはねっけが目立つ少年が立つ。
 うん、と、ノゾミは少年——、クロに向かってうなずいた。

 そう、昨日、警察にこんなカードが届いたのだった。