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Re: 【最終章突入!】魔女守り!【人気投票実施中!】 ( No.278 )
日時: 2011/11/19 19:13
名前: 由羽 (ID: mOKQW.49)
参照: http://works.bookstudio.com/author/23640/21334/contents.htm

「科学者なんだ」

 科学者。
 それは、もう、何年も前に消えたと思っていた。
 魔法が普及する前は、科学の町だった。
 それが、いつの日にか、一人の人間に魔法が使える能力が宿った。
 その人は、暴走し、科学を消してしまった——。

 そんな話を、たしか歴史の授業で言っていたと思う。

「でも、科学って——確かに消えたんじゃ——。それに、今更魔法より不便な科学を、人々が受け入れるなんて——」

「俺も思わない。だから、俺は消すんだ。——魔法を、な」

「魔法を消す!?」

 クロが、問いかける。

「そうさ。抹消する。この爆弾で」

 そういって、彼が取り出したのは、何かのスイッチだ。

「その図面は爆弾の設計図さ。お前らは感謝しろよ。こんな特等席で、この町が破壊するのを見れるんだからな」

 そういって、シャッと、近くにあったカーテンを引く。

「っ!?」

 窓の外に広がっていたのは、総理のパレードの様子だ。
 色とりどりの紙テープが飛び交い、頭の上に振られる手の数は、およそ千は下らないだろう。
 外の声が聞こえないのは、この窓のガラスが防音加工されているからだ。

「特等席って」

「ここさ。感謝しろよ。俺たちのアジトだ」

 いとおしそうに、壁をなでる。

「こんな近くにいたら、自分たちまでぶっ飛ぶんじゃないの」

 にらみを利かせて、ノゾミが聞く。

「いいんだよ。俺たちの命なんて、そんなものさ」

 開き直ったかのように、ひらひらと手を振るリーダー。
 周りにいる仲間たちも、うんうんとうなずく。

「あんたたちは別にいいんだけどさ、あたしは困るんだよね。まだ、やりたいことがたくさんあるの」

「ふん。関係ないさ。捕まったのが運のつきだと思って、あきらめな」

 やだっ、と叫び声をあげ、ノゾミは縄をほどいた。
 後ろにあった、割れたガラスで、切っていたのだ。

「待ってろ、今捕まえてやる——」

 その時。

 ぐらっ。

 視界が揺れた。

「あ、あたし今、コンタクトしていない——」