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Re: 【最終章突入!】魔女守り!【人気投票実施中!】 ( No.284 )
日時: 2011/10/16 18:37
名前: 由羽 (ID: ze9J8nGv)
参照: http://ncode.syosetu.com/n5860x/


「にしてもクロ、あんた武器ない状態でどうやって戦うの? 武術は苦手だったはずでしょ」

 ノゾミの言う通り、クロは武術系が苦手だ。

「え? なんだよ、こいつに決まってるじゃんか」

 クロが手にしたのは、先ほど縄を着るために使った、ガラス。

「ダメでしょそれはー! バカでもわかるわーっ!」

「目には目を、歯には歯を、刃物にはガラスを!」

「なんだそれ、危ないことわざ作るなバカー!」

 ノゾミのツッコミを無視し、クロはガラスを構えて、突っ込んでくる。
 リーダーがナイフを素早くおろすが、クロは持ち前の身軽さでかわす。
 そして、その反動で、勢いをつけた回し蹴り。
 それを受けて、く、と顔をゆがめたが、しゃがみも、ノゾミを放そうともしない。
 結構丈夫だ。
 だか、ノゾミは違うところに感心した。

「できるじゃん、武術も……」

「ノゾミ、顔下げろ」

 え? と、わけもわからず顔を下げる。
 すると、頭数センチすれすれに、クロの持ったガラスが通る。
 リーダーは気が付いていたのかいないのか、ノゾミごとしゃがみ、ぎりぎりでかわす。

「……やるな、坊主」

「そっちこそ」

「クロ、たぶんかっこいいよ!」

「「お前は黙ってろ!」」

「え? なんで」

「何でもだ」

 リーダーが、立ち上がりながら言う。

「今、漢(おとこ)同士の戦いをしているんだよ」

 本人はかっこよく言ったつもりだろうが、以前、おねねさんが使っていたろうな漢字を言っていたので、ノゾミにはジーンとこない。

「リーダー。こんな坊主と戦っていないで、さっさとおっぱじめましょうよ」

 部下の一人が、言う。

「そうだな。おい、坊主を捕まえろ」

 存在を忘れられていた部下たちが、涙声で「いえっさ!」と言いながら、クロを抑える。

「見ていろよ、総理の、魔法の最期を——」

 させるかよ。ここまでつむいできた世界を、こんなに簡単に、終わらせてたまるか。
 ノゾミは、歯切りをした。