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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 魔女守り! ( No.30 )
- 日時: 2011/11/19 17:44
- 名前: 由羽 (ID: mOKQW.49)
「おらおらおら! あと五周だバカやろーっ! さっさと走れやこらぁー!」
見事な晴天の下、おねねさんのだみ声が校庭に響き渡る。
「そこ、歩くなおら! 漢(おとこ)なら走れーーっ!」
おねねさんに注意された男子生徒が、わあんと半泣きで走り出す。
それを見て苦笑いをするのはノゾミ。かっこをつけないと読み方がわからない漢字に、やっぱ男だわ、と再確認。
ノゾミがあんなことを起こしたのに早くもみんなに打ち解けているのは、おねねさんやアネモネが誰にも教えなかったからだろう。
そんな優しさにジーンとくる。
「ノゾミ、感謝してるなら走れ! なんならあと五周追加してやるよ!」
男時のおねねさんは怖い。……なぜ心の中の声が聞こえたのだろう。
「……女時とのギャップがね…………」
「何々、おねねさんが気になるとかとか?]
「いえ、そんなことございません。って、誰ですかあなた」
いきなり隣に来た背の小さい男子に質問する。
「ってか年上には敬語を使いなさいよ」
「…………」
ノゾミが注意すると、男子は神妙な顔をし、
「それはこっちのセリフだバカ野郎!」
と、怒鳴った。
もちろんその声はおねねさんに聞こえていたらしく。
「しゃべんなおい! 何か話したいことがあったら終わってからにしろ! お前ら、三周追加で!」
「……はい……」
ったく、あんたのせいよなどと口の中でごもごも言いながら、ノゾミは残りの校庭七周を、全速力で走った。
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