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Re: 魔女守り!【ついに最終話前話ですと!?】 ( No.300 )
日時: 2011/11/01 19:01
名前: 由羽 (ID: cTgMt2qy)
参照: http://www5.hp-ez.com/hp/yuugatasanji/page1

       注:最終話にしてなぜかノゾミ視点

「あたしは、魔女——」

 そこで、真剣におねねさんの顔を見た。
 彼(彼女?)ならきっと、あたしの答え、受け止めてくれると思う。
 目が覚めたばっかりだけど、これは、ずっと心の中で出していた答えだ。

 たぶん、後悔はない。

「——狩り本部に、戻ります」

 その瞬間、クロの息をのんだ音がした。
 うん、あたしは魔女守りに残ると、ずっと思っていたんだろう。

「あなた——、後悔は、しないの——?」

「はい。これが私の答えです」

「そう。それなら仕方ないわね。手配しておくわ」

 そういって席を立ったおねねさんを、あたしは引き留めた。

「待ってください。あの!」

 目つきを変えたあたしに、おねねさんは椅子に座る。
 クロは、姿勢を正した。

「魔女守り本部より、魔女狩り本部のほうが、訓練のメニュー、ハードなの、知っていました?」

 にやりと、いたずらっ子のように笑うあたしに、おねねさんは何かを察したようだ。

「知っているわ」

「だから、魔女狩り本部で、体、鍛えておきますんで、もし、教官になりたいとあたしがそちらに行ったら、ひいきしてくださいね」

 わかったわ、と言い残し、おねねさんは席を立った。
 クロと二人きりになったあたしは、あいつに向かって、ピースサインをした。


 ☆ ☆ ☆

「ここだよね。うん、さあ、いけっ!」

 苔が生えた、暗くじめじめした狭い路地に、とある女性の影が落ちる。
 ふわりとしたロングヘアーを、後ろで一つにくくり、釣り目がちの瞳は、紺。そんな彼女は、後ろにいた二人の人物に、指で命令をする。

「僕は行きませんよ……?」

「え、なんでですかっ……? あ、あのですねぇ、教官。自分も行ってくださいよぉ」

「甘えるなっ! ほら、さっさと行く!」

「仕方ないな……ダリアス教官、クンシラン教官、突入します! あ、クンシラン教官はいいですよ」

 まだ幼い、十二、三歳の男の子が、自分の銃を構えながら、突入した。
 しばらくすると、中から悲鳴が聞こえ、傷だらけの、さっきの少年が出てきた。

「教官んんんっ! 無理です!」

 勇ましく敬礼した少年の頭を勢いよく叩き、彼の教官は紅い銃を構えた。

「火蘭っ!」

 ごう、と大きな音がして、一気に建物は火に包まれる。

「ノゾミさんっ!?」

 もう一人の、ねこっけで気の弱そうな教官——、クロに突っ込まれ、やっちゃった、とでもいう風に、ペロリを舌を出すノゾミ。

「もう、逃げるわよ!」

「え、逃げるんですか!?」

「あたり前よ! ほら、早く!」

 ノゾミを筆頭に、その場にいた魔女守りたちは、一斉に逃げ出す。
 どうやら、ノゾミの魔女守りの人生は、まだまだ、これからというところである。

    ———完———