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Re: 【大会近いので】魔女守り! 【短編!】 ( No.324 )
日時: 2011/12/08 19:39
名前: 由羽 (ID: MKBom4Aq)
参照: http://www5.hp-ez.com/hp/yuugatasanji/page1


『新入生、入場』

 見覚えのある教官の言葉で、ノゾミたちは足のそろった行進のような歩きで、会場に入る。
 ぱちぱちと、隊員や保護者の拍手の中、ノゾミは何とか笑わずに入場することができた。
 新入生の席は年齢順に並んでいる。なので、十七歳という中途半端な年に入隊した人は少ないので、ノゾミとクロは隣同士だ。

 座るときにちらりと後ろを振り返ると、ムッツリと唇を閉じたグラ先輩と目があい、思わず笑ってしまう。
 十三歳に入隊した時もこんなだったよな——。
 教官の言葉を聞き流しながら、ノゾミはそんなことを思った。

——四年前、十三歳——

 どうしようどうしよう。唯一の知り合いのクロは遠いし、なんだか後ろにいる先パイこわいよぅ……。

 がっちがちになっていたノゾミ。その理由はガタイのいいノゾミを見つけ、ふうんと愉しげに笑っていたグラ先パイが怖かったのである。

 これが噂の後輩いびり!? いやぁぁぁ……!

 心の中で叫び続ける。その間にもグラ先パイの視線は背中に突き刺さる。

 どうしよう、なんだかお腹も痛くなってきたし——!

 ぐるぐるとノンストップで廻る思考を抑えようとパニくる。
 ——まあ、その後新入式は無事に終わったのだが……しかし。お腹の痛みは治まらない。
 またパニくり始めたノゾミに、やさしく声をかけたのがグラ先パイだった。

「——トイレなら、こっちだぞ?」

 何もかも見抜かれたのか、出会ってからの第一声に赤面したノゾミが、グラ先パイにキックを食らわした。

 ———————

『新入生代表の言葉。新入生代表、ノゾミ・ダリアスさんお願いします』

「あ、はい!」

 思わず気を抜いていたので余計な一文字が入ってしまったが、ノゾミはいつものぴりぴりとした大声で返事をし、ステージの上に上がる。

 ——その成長した背中を見ながら、グラ先輩が笑みを浮かべた。