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Re: 【大会近いので】魔女守り! 【短編!】 ( No.326 )
日時: 2011/12/21 20:16
名前: 由羽 (ID: NPMu05CX)
参照: http://ameblo.jp/sikako-bambi/entry-11102391251.html


「えーっと……わ、わたしは、魔女狩り初の女子隊員、そして移動隊員なんです」

 いきなりのカミングアウトに、ノゾミのことを知らない新入生はざわつき始める。
 知っている人はああ、この人がそうなのか、とでも言いたげな視線を送る。

 でもそんな反応はあらかじめ予測していたので、ノゾミは意外と落ち着いていた。

「五つ、事件を解決したら戻れるといわれて、わたしはやる気を出しました。絶対に戻りたいと思ったし、こんなところにいたら恥ずかしいとも思っていました」

 魔女守りのことを知らない隊員は、首をかしげる。
 彼らは、ここ魔女狩りと同じように、普通の外見に普通の隊員がいると思っているのだろう。

「——魔女守りは、建物は壊されているし、窓ガラスなんてあったらいいほう、隊員だって教官だって変人さんが多くて、手間はかかるわ融通は利かないわで何かと迷惑していたんですが……」

 つらつらと愚痴を並べるノゾミに、会場は動揺。

「——だけど、わたしはその中で、大切なものを見出しました」

 緊張の混じった笑顔で、ノゾミはやさしく伝える。
 その宝物の良さを言っているような表情に、クロは思わずあのぼろい魔女守りの姿を思い出していた。

「おねえキャラで、でも一番漢(男)だった教官には、「守る」ということを」

 クロの脳裏に、おねねさんの姿が想い浮かんだ。
 訓練の時は怒鳴るためにいつも使っていた黄色いメガホン。なんだか不思議と安心できるあのおねえ系の口調。

「チビでぶっきらぼうで出番も少なかったけど、信頼できた先輩には「同じ」ということを」

 初めて会ったとき見えたあの頭。起こる前にいつも寄せる眉間のしわ。

「ツンデレだけど一途な友達には、「大切」ということを」

 つりあがった眼と眉。腰についた儚花を大切そうに見つめていたときだけやさしくなる視線。

「そのほかにも、たくさんの人と出会い、教え教えられ、そして——気が付きました。わたしは、この世界ではとても小さく、弱く、そしていつ自然淘汰されてもおかしくない存在です。ですが、そんな不安定な“わたし” という存在を、守ってくれている仲間たちの存在を。
 ——もちろん、ここでも見つけていきたいと思います」

 最後に締めくくったノゾミ。
 その姿は、とてもまぶしく感じた。
 拍手の中で、照れくさそうに降りてくる彼女の姿を見て、クロはどんな声をかけてようか、少し緊張した——。

———————End————