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「ぎにゃっ!?」

　畳の上に、クロが宙を舞い、落ちた。

「一、一本！　勝者、ノゾミ！」

「……ふん、クロのくせにあたしに勝とうなんて思うからいけないのよ」

「いや、勝負を言ってきたのはノゾミさんでですね……」

　痛む背中をさすりながら、クロがのろのろおきあがった。

「あたしのバディがどのくらいのレベルか、試してみたかったのよ」

　っふん、と鼻を鳴らしノゾミがドヤ顔で言う。

　——今日の訓練は武術、だった。ノゾミは武術では敵なしだ。

「でもいいなー、女子と組めて。お前は幸せもんだよ」

　太り気味の男子がうらやましそうな目で見る。

「……、いえ、僕はノゾミさんのことそんな風に見たことありませんし。ていうか、今のとこいじめ程度しか扱われていないのに、そんなこと思えませんよ」

「え、どんなことされたんだよ！」

「……最近の女子は強いですから……」

　涙を流しながら言ったクロを見て、ノゾミは聞こえないように、「お前がヘタレだからだよ」と、つぶやいた。