コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 魔女守り! ( No.6 )
- 日時: 2011/11/19 17:31
- 名前: 由羽 (ID: mOKQW.49)
「……ヘタレ…………?」
何かに憑りつかれたかのように、呟くクロ。
「ヘタレ……へ……タレ………」
そして。
腰に着いた剣を取り出し、ノゾミに向ける。
「俺はヘタレなんかじゃねぇぇ——————っ!」
咆哮したクロに、ひゅうっ、と口笛を吹き、ノゾミは目の前にいた魔女を盾のようにして背後に回り込む。
「……へっ?」
きょとんとした魔女に、ノゾミは「ゴメン」と言って、
「クロ、行けぇっ!」
「うっさいわ!」
「はいはい」
「ったく……。さて」
クロは魔女に剣先を向け、逃げるすきを与えないように素早く、
「水龍、第三の舞、水壁っ!」
「え、」
ノゾミが盾になっている魔女が、小さく声を上げるが——、
それはすぐに途切れた。
「……ぶふっ!」
魔女の顔にクロの剣から出た水が降りかかる。
「やるう、クロ」
にやにや笑うノゾミに、魔法使いが後ろから襲いかかった。
「! むっ、」
「これでもくらえーっ!」
魔法使いが出した魔法は地。
地面から大量の木が生えてきて、ノゾミの周りを囲む。
「……ノゾミさんに地の魔法は聞きませんよ……」
元に戻ったのか、クロが平然とした顔で言う。
「なっ!? こんな木に襲い掛かれて、平気なわけあるかっ!」
そう言って、魔法使いは手を上げる。それを合図に、ノゾミを囲んでいた木が一斉に襲い掛かる。
「面倒くさいなあ」
そのノゾミの声が聞こえた瞬間、
「火蘭、第五の爆、火柱」
ごううぅっ!
木々の間から真っ赤な火柱が立ち、黒い煙が立つ。
火は山火事のようにあっという間に伝染し、早くも一本、倒れ始める。
「っなっ、まさか……オレの魔法が……」
もはや戦意消失した魔女たちが、ぱちぱちと音を立てて聳え立つ火柱を見て、がくりと膝をつく。
そんな魔女たちに、ノゾミはもう一度高らかに宣言した。
「中央魔女狩り本部中等部二年、ノゾミ・ダリアス。貴方たちを強制連行します」
プチ火事になっている部屋の中で、がくりと肩を落としたのは魔女たちと、怒られるだろうなー……と部屋の中を見渡す、クロだった。