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「なーんかこいつ、怪しいんだけど」

「同感だな」

　ノゾミとレイスは、東町のほうにいた。もちろんパトロールで。
　目をぎらぎらさせて周りを警戒していると、何やら怪しい動きをする男性を見つけたのだ。

「年齢は三十代前半。緑のＴシャツに黒いジーパン。ラフな格好でコンビニの袋を持っている。だが、サンダルを履いておらず、靴を履いている。何をするつもりだ……？」

「息は荒れていないからランニングとかそういうことではなさそうね。あたし、前方約50メートル先に魔女がいるの、気になる。あと、周りをきょろきょろ見回してるし」

「ストーカーか？」

「厳戒注意、ね」

「ってかあんた一応推理とかできんだな。頭悪そうなのに」

「しっつれいね！　そんくらい楽ショーよ！」

　と、プチ口論をしていると、目の前に分かれ道。
　しかも、怪しい男性を見失った。

「畜生、お前のせいだからな。俺は右に行く」

「あんたのせいでもあるんだからね。じゃあ左に行く」

　少し睨み合って、二人はばらばらに、歩き出した。


　　——その頃。

「なんか嫌な予感がする」

　アネモネが唐突にそういった。
　魔女狩りの食堂のメニューを見ているときに言ったので、皆、「はい？」と大合唱で聞き返した。

「ちょっとあの二人探してきます！」

「あ、僕も行きます！」

　アネモネとクロは、椅子を盛大に音を立て、立ち上がり、走り出した。