コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: ▼. かがみevery day!! *オリキャラ募集中!! ( No.7 )
日時: 2011/09/07 23:17
名前: りりた。 (ID: 8ni6z6qB)

第一話 「さよなら、ばいばい、」

*02


「なんでだよぉぉぉぉお!?」

 屋上の真ん中でウチは、叫ぶ。叫ぶ。叫んだ時、つい床を叩いてしまったので、その拍子に机においてあったジャスミンティーがこぼれてしまった。

「どしたの? 梨樹」

 もっきゅもっきゅとパンを食べながら、神菜は首をかしげながら尋ねる。首をかしげる動作だけででアホ毛が動くので、神菜をけっこうみてても飽きないなぁなんて思ったのは別の話。

「あのさ、神菜。人が弁当持ってない時点でわからないかな? 学校には持ってきたんだよ!? なのにお昼に弁当がなくなってるなんてどんなミラクル……」

 
「………?」

 ウチは、神菜の口の周りを凝視した。
 神菜の手にはジャムパンがある。それ以外は牛乳しかない。なのになんで私の弁当のおかずだったミートソーススパゲティのソースが口に着いてるのかな?

「……ねぇ、神菜」
「うん。なに?」

「なんで口の周りにソースついてるのかな?」
「…ぁッ、ええーとね今日はミートソーススパゲティパンだったから…?」

「今日はジャムパンだってさっきはしゃいでなかったっけ?」
「ッちがうよ! ミートソーススパゲティパンもかったんだよ!?」

「ふーん。そーなんだぁ。ウチ、ミートソーススパゲティパンなんて聞いたことないんだけどな」
「……すみませんすみませんすみません。あとでおごりますまじすみません」

 そう土下座する神菜を横目で見ながら、ウチはため息をつく。
 ウチは神菜に友達になろう宣言を目の前でされてから、神菜と行動を共にしている。そうするとクラスの皆はなぜかウチを避けるようになり、友達に囲まれてきゃっきゃうふふなガールズトークをするという夢は消えてしまった。
 その他に神菜といっしょにいてわかったことは他に2つある。
 一つ目は、2-1の皆は意外と常識人がけっこういるということだ。転校してきた直後でクラスの皆を見た時、変な人がさまざまいたが、その他の人はいたって普通な人も多かった。……いや、この変な人たちを受け入れていること自体おかしいのか。(神菜以外)
 二つ目は、神菜は予想もつかない行動をするアホっ子だったということだ。いきなり理由もなくそこらへんのカエルを捕まえ、解剖しそうになったり、校長のカツラをとってみたり、その場を丸く収めるのは大変だった。クラスの皆が神菜を受け入れられないのはその突飛した性格もあるだろう。だがウチには実は、そんな行動をする神菜が見ていられなくて神菜から離れられない。なんだか神菜にはその妙な愛嬌があるのだ。


(———ウチも十分おかしいのかもね)

 土下座したまま寝ている神菜に視線を移し、またため息をする。ジャスミンティーでとりまお昼を我慢しよう、そんなことを思いながら。



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「——ほれ! 起きろ!!」

 まだ眠りこけている神菜を無理矢理起こし、背中をたたく。

「ッ…梨樹ぅうぅぅぅぅ! 梨樹を殺さないでぇぇぇぇ」
「おめーはなに勝手にウチをころしてんだごらぁ」

 ぺしっと神菜に平手打ちをし、かついで階段を下りる。神菜は背が低いので体重も軽い。ムカつくほどに。

「…ッあぶな」

 階段を降り切り、教室に向かおうとした時、ある人影がウチの右から左へ走って行った。もう授業が始まる直前なのに、教室と反対方向へ走って行くなんてどうしたんだろう。
 その後ろ姿を見てウチはつぶやく。

「あれは……白羽、独さんだったような?」

 すごく急いでた。なんだろう? 急ぎの用事でもあったのかな? そんな疑問を持ちながら一歩一歩歩いていく。
 だが一歩一歩歩くうち興味もだんだん薄れ、どうせ教室に帰ってくるだろうという気持ちになってきた。

「だいじょうぶ、だよね? 神菜」
「ッうーん、梨樹がネズミに食われ…」

「どんな夢みてんだよおめーは!? つかなに!? ネズミって何!?」


 つっこみを入れながら歩く。歩く。
 独がなにかに追われてたかも知らずに。




 ただ、そのときは独のことを他人事のように感じていた。





えんど*