コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 第1章 大丈夫じゃない、問題だ[沖本] ( No.133 )
- 日時: 2011/10/07 19:52
- 名前: とろわ ◆DEbEYLffgo (ID: 3QDumk2O)
どうも、沖本清香です。
フルートのパートリーダーやってます。ちなみに初登場したシーンではしゃべってなかったらしいので、実質これが初めましてな感じですかね。
…さて、前置きはこのぐらいにして。
私は今、ある苦痛と戦っています。
「それじゃ、ロングトーンやります」
「「「「はい」」」」
「…はい」
右手がふるふると震え、体全体がぞわぞわする感覚。
……はい、正直に言います。吉野殴りたい。
みぞおちに思い切り拳を叩きつけて空に舞わせたい。
それでいて内臓が損傷して血を吐いたらなおスッキリする。
ああああああ殴りたい。どうしよう。基礎合奏中だというのにいいい。
「せ、先輩。どうしました?」
ふと、隣にいた後輩の金森毬菜ちゃんに話しかけられた。
流石に吉野殴りたいとは言えないので、なんとか堪えて「大丈夫だよ」と作り笑いをしながら言った。
毬菜ちゃんは心配そうにしていたが、やがて自分の楽譜に目を通して吹き始めた。
…さ、自分も耐えて吹かないと。
「———フルートは、音量が小さいのでもう少し出してくだださい」
「「「「はい」」」」
「……はい」
やっぱり辛い。殴りたい。いっそのこと蹴りたい。
でも、今日こそは耐える。耐えて国民栄誉賞貰う。
…うん、いつもは合奏途中殴ってるんだ。てへぺろっ☆
だってなんかもー、殴りたいんだもんしょーがないじゃなあああい!!
「…あの、どうしたんだ?清香」
「っあー、ナンデモナイヨ吉野クン」
「いや、どう考えても構えてるし。殴る寸前だし」
「君ニ話シカケラレレバ話シカケラレルホド殴リタクナルンダ」
「すいません何でもないっすすす」
自分の顔どんなんなってんだろ。引きつりまくっててある意味恐怖だろうな、うん。
「…こほん、タンキングやります」
「「「「はい」」」」
「…ハイ」
辛い辛い辛い辛い辛い辛いあべぶぼぼぼぼぼ。
「これで、基礎合奏を終わりにします」
「「「「はい」」」」
「この後基礎パートなんで移動してください」
「「「「はい」」」」
あーよかった終わった!とうとう殴らずに済んだぞー!「っと、ごめん!!」
…そう思った途端に、吉野が私の譜面台に躓いた。
………躓いてしまった。
「うぉらあああああああああよおおおおおおおしぃいいいいいいいいいいいのぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
ゴフッッッッッッ。
「GGGGGGGGGGGGggggggィィィィャアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァアアアア!!!!!!!」
私の拳が吉野のみぞおちにヒット。
空を高く高く舞う吉野。
口からは血を吐きながら、くるくるとスピンして頭から床に落ちる吉野。
呆然とする周囲。
メキメキと音を立てながら壊れていく床。
「…また弁償しなきゃか………」
「少しは俺の心配をしろぉおおおお!!!」
どうやら吉野は生きていたみたいだからいい事にした。