コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

第1章 大丈夫じゃない、問題だ[兎沢] ( No.134 )
日時: 2011/10/07 21:39
名前: とろわ ◆DEbEYLffgo (ID: 3QDumk2O)

基礎合奏が終わったー。あれ、面倒くさくて嫌いなんだよねえ、ボク。
ま、終わったからよしとするのがオトナの対応って言うんだよね。じゃあボクおっとなー!

…ふう、とりあえずそう思ったところで移動しよっか。
基礎パートというのは基礎的な練習(タンキングとかロングトーンとか指回しとか)を20分ぐらいパートでやるという、名前通りのモノなんだよ♪
ちなみにボク達チューバは音楽室のお隣にある家庭科室で吹いてるんだよぅ。関係無いけどボク家庭科得意なんだ!料理とか裁縫とかって楽しいよねぇー。
この間かののんにそう言ったら「そうなんだーへぇー自慢ー?」って死んだ目で言われたんだ!凄いでしょー!

「あの、先輩。ええっと…」

うお、びっくりしたあ。
ボクの右隣から、チューバの可愛い可愛い後輩の、まーたんこと山田花子ちゃんが話しかけてきた。
あ、そうそう。まーたんのお家って神社やってるんだよ!まーたん巫女さんなんだー!
まーたんの巫女服はチョープリティーっていうかすっごくキュートなんだよ!まーたん可愛い!流石ボクの後輩!

「どーしたのまーたん。何か困った事でもあった?」
「あ、あの。メトロノームを、その」
「あ、持って行ってくれるの?有難うまーたん!」

ボクは思わずまーたんにハグ!
まーたんの驚いたような、照れているような顔はすっごーく可愛いんだよぉ!

「せせせせせ先輩!その、恥ずかしいですよぅ……」
「はっはっはー、照れているまーたんも可愛い!」
「あうっ…」

ヤマトナデシコなまーたん可愛い!…さっきからまーたん可愛いしか言ってないけどとにかく可愛いー!

「さ、まーたん補給完了したところで、移動すっるかー!」
「はいっ」


ボクはせっせとチューバを家庭科室にまで運んでいった。
…チューバでっかいなあ、いつも思うけど。ボクが小さいっていうのもあるけどね!






「さってとー。パートはっじめーるよー!まずはチューニングしてねっ♪」
「はい!」

——二人だけだと、家庭科室がすっごく広く見えるんだなあ。今まで三年の先輩がいたからもうちょっと広く見えたんだけど。

なんて思いながら、ボクはチューナーを引っ張り出してB♭の音を合わせる。
今日は暑いからねえ、ちょっと高くなっちゃってるや。
まーたんの音もちょっと高い。まあしょうがない。暑いし。とけるー。

「うう、合わない…」

まーたんがボソリとつぶやく。

「今日はいつもより多めに時間とるから、あせんなくていいよー」
「有難う御座いますっ」

まーたんはそう言うと、真剣な表情になってチューニングし始めた。

しっかし、まーたん上手くなってるんだなあ。
まだ音もあんまりあってないし、音色も微妙なところもあるけど、段々リズムを掴めるようになってる。
もしかしたらボクなんかそのうち抜かしちゃうかもしれないなあ。まーたん努力家だから。



———ようっし、ボクも負けないように頑張らないとーっ!!


ボクはマウスピースに口をつけ、大きく息を吸ってから、チューバに音を響かせた。