コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

第1章 大丈夫じゃない、問題だ[井野] ( No.135 )
日時: 2011/10/30 19:01
名前: とろわ ◆DEbEYLffgo (ID: 4yuxSnKU)

「———さ、やろうか」

私——井野結華はそう言った。

私達、トロンボーンはパート練は二年の教室でしている。
ちなみにトロンボーンは私、同い年の浜名縁ちゃん、後輩で、夏月ちゃんの妹の叶野美沙都ちゃんの三人だ。
縁ちゃんの身長は145cmと小柄だけど、美沙都ちゃんは160cm以上もある。ちなみに私は155cmほど。後輩の方が自分達より多いと言う切ない現実。

「そうだね。さっさか練習して上達しないと!」

元気に言ったのは縁ちゃん。

「…はーい」

と、大分気だるそうに言ったのは美沙都ちゃん。

「ちょっと、美沙都ちゃん!もっとハキハキと大きく返事ぃ!!」

いきなり大音量で縁ちゃんが美沙都ちゃんの返事にキレ始めた。

「…はい」

美沙都ちゃんは怯えながらか細い声で言った。
まあ、怯えているのには理由がありまして。

「返事しろっつってんだろうがグォラララアアアアアアアア!!!!」

縁ちゃんは、キレると鬼化して凶暴になるのです。

縁ちゃんは勢いよく立ちあがると、美沙都ちゃんにグングンと近づき、服を掴んで美沙都ちゃんをグラグラと揺らし始めた。
美沙都ちゃんの頭はガンガンと揺れて、段々顔が青ざめてきています。

…止めないと流石にやばいなこれ。

「ちょ、縁ちゃん落ち着いて!!」
「外野は黙ってろやゴルァ!!!」
「すいませんでしたあの止めてください蹴らないでグフォァアア!!」

暴力反対マジで痛いギャアアアアそこ蹴らないでくださいぃいい!!



———と、誰も止められない状況になっていた時、救いの神が舞い降りた。

カラカラと扉が開き、そこから現れたのは——

「どうしたの?随分と騒がしいけど」

なんと、月見里先生だった。
先生の姿を見た縁ちゃんは、ハッと我に返り、服から手を離した。
解放された美沙都ちゃんはふうと安堵のため息をついた。

「あ、えっと、あれです!暴走してました!」
「そっか。暴走していたのは別に構わないんだけど、うるさいからほどほどにねっ」

ぼ、暴走しても別にいいんかいっ!

「はい…。すいません、愛なので許してください」

その言い分も随分謎だと思うけど、縁ちゃん…。

「はい、別に大丈夫です。愛なら」「大丈夫だよ。愛なら」
「もう駄目だこの人達…」


…先輩がいないだけでこんなに不安感が違うんだなあと痛感されたパート練でした。






「さて、やろう。パート練」
「なんだかんだで一番台詞量が無かった私の台詞奪わないでよ、縁ちゃん…」