コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

第1章 大丈夫じゃない、問題だ[染谷] ( No.136 )
日時: 2011/10/08 20:40
名前: とろわ ◆DEbEYLffgo (ID: 3QDumk2O)

どうも、染谷涼です。
…染谷涼だとインパクトがないか。
えっと、眼帯です。ちなみに眼帯は何百…たぶん何十種類かぐらいあります。毎日変えてます。

私達ホルンは今現在、裏打ちの練習中。
というか、愛音ちゃんや後輩の名嘉川琉都君は出来ているのに、私オンリーできません。はい、残念ですね。

んで、その練習のために、メトロノームを鳴らしながら教室にある誰かさんの机をドンドコ叩いて練習しています。
他の二人は出来ているのに私は段々ずれていく…どうして私がパートリーダーになったのかが未だに分からない今日この頃。

「涼ちゃんまたずれてるよー」
「涼先輩、いつになったらできるんですか?」
「多分三十年目だと思う」
「「……………」」

だってしょうがないじゃないか、できないんだもーん。

「このままだとパート練でエリーが吹けなーい」
「うう、ゴメンナサイ……」

がくりとうなだれる私。

…そうそう、エリーというのは愛音ちゃんのホルンの事。
愛音ちゃんは楽器に名前を付けるのが好きで、私のホルンはアリア、琉都君のホルンはファインというらしい。
アリアってなんか可愛いから私も気に入っている。まあ、楽器自体は古いからあんま可愛げがないんだけど。

「まあ、いいじゃないですか。後で吹けるんですから、パイレーツの合奏で」
「そうだよねぇ。ならしょうがない、パートリーダー様に付き合うかっ」
「そのつもりは無いんだろうけど、何故だか凄く傷つく…」

そんな会話を交えながら、暫く裏打ちの練習をしていた。




———10分ぐらいそれを続けた後、そろそろ吹こうという話になり、私達はチューニングをし始めた。
しかし、琉都君の上達っぷりは凄いよなあ。もう大体の音がしっかり出せている。
私なんて二年になるちょっと前ぐらいまでは全然音程取れていなかったというのに…才能の違いをひしひしと感じる。

「皆チューニング終わった?」
「うん、バッチリ♪」
「大丈夫です」
「よし、じゃあ練習始めようかっ」

慣れないけど、頑張って指示しないと。

「まずはロングトーン。チューニングの音から」
「「はい」」

テンポ60にセット。私は1、2と合図をして、皆で一斉にB♭の音を出した。
まだ琉都君は音が安定してないけど、それでも一年前の私よりは断然上手い。
愛音ちゃんの音は丸い音で、優しい感じがして私は好き。
…私の音は聞かないでください。いじめかっこわるい。


「——ええと、まだ琉都君は音が揺れているので、しっかりお腹で支えて吹いてください」
「はい」
「愛音ちゃんは音量が少し小さいので、もう少し出してください」
「はい」
「他に何かありますか」
「涼ちゃんは出だしがまだ汚いので、綺麗に出れるようにしましょう」
「はい」

…と、それらしい事を言っていく。
なんか、自分が一番下手なのに、人の指摘をするのはなんかあれだなあ…。
でも、それがパートリーダーの使命なんだし、頑張ろう!






そうして、なんとか無事にパート練を終えて、私達は音楽室に向かっていった。
…パイレーツ、不安がいっぱいです!!