コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

第1.5章 ( No.170 )
日時: 2011/10/16 19:46
名前: とろわ ◆DEbEYLffgo (ID: 3QDumk2O)

‐一年生の眩しさと二年の凡人さ‐


「私達ってさ…特に特徴ないよね…」
「うん………」

部活終了後、フルートの二年の二人組が唐突にそう呟いた。
周りには近寄りがたいオーラを醸し出している。恐ろしい程のマイナスオーラだった。

「ほら、一年の三人は帰国子女、モデル、財閥の令嬢さんじゃん。なのに私達二人はただの凡 人だよ?」
「うん…。なんか、申し訳なくなるよね」
「土下座したい」

一体この二人は誰に向かって喋っているのであろうか。不明だった。

「でもさ、清香ちゃんはあれじゃん、ヨッシーノを殴っちゃうという謎能力があるじゃん」
「う、まあそうだけど…」
「だから、本当の本当は私が一番凡人なんだよねー……」
「そんな事ないって。だってセクションリーダーで楽指揮じゃん、愛里ちゃんは」
「そんなのと比べるのはむなしくなるんじゃい!!阿呆!!」
「いきなりキレるなよ!!」

突然二人の口喧嘩がスタートした。

「どうせ私なんてモブ以下だよ!特に特徴がないモブAだよ!!」
「そんな事ないわい!私なんて残念な人Aだわい!!」
「残念という特徴があるじゃん!というか清香ちゃんは残念ちゃうし!!」
「そんな事言うならあんただってモブじゃないわい!!」







「———ねえ、ヨッシーノ」

夏月は圭人に話しかけた。
圭人は夏月の方に顔を向けると、夏月は呆れたような表情でこう言った。

「あの二人ってほんと仲いいよね」
「………そうだな」


そして、二人は止めずに微笑ましくその様子を見ていたのであった。







‐出番‐


「…なんか、最近出番ないなあ」
「確かにねえ………」

と、バリサクの央棚みさと羽澄円華はそう呟いた。
出番が少ないキャラが出るというのは、キャラが多いブラバンな話だからしょうがない気もするが、それでも二人の活躍は0,1章前半ぐらいしか無い。…ただの作者の力量不足とか言ってはいけない。

「まあ、出番が少ないけど裏では頑張ってるよね。私達」
「夏月先輩に振り回されてみたり」
「吉野先輩のサポートをしてみたり」
「結構色々してるよね」
「うん」

2人は呑気に話しながら、楽器をのんびり片付けていた。

「まあ、流石にあのテンションは困る事もあるけど…」
「でも、そういうところも先輩だから、なんだかんだで嫌じゃないんだよねぇ」
「そうそう」

そんな事を言っていると、背後から突然二人は誰かに抱きしめられた。

「「!?」」

慌てて後ろを向くと、そこには夏月の姿があった。

「二人とも可愛い事言うねえ。流石可愛い後輩ちゃん達っ!むぎゅーっ」
「あわ、あわわわ…!!」
「先輩、恥ずかしいですってばっ」
「分かっていてやっている。確信犯なのだーっ」
「うう………」
「流石、先輩………」

そんな風に言いながら、嫌そうにはしていない後輩二人をみると、夏月は幸せな気持ちになった。







「よし、二人の出番を大分増やしたぞー!」
「え、もしかしてそのために?」
「YES!」


「「……………」」