コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 第1.5章 ( No.194 )
- 日時: 2011/10/28 17:39
- 名前: とろわ ◆DEbEYLffgo (ID: 4yuxSnKU)
- 参照: すまんなんかこの話糞長い
‐ラノベでよくある…‐
「どうにかしたいなあ…」
楽譜が並べられた棚を見ながら、皆の頼れる副部長こと桜花吹雪がそう呟いた。
棚には楽譜が乱雑にいれられており、どこに何があるのかが分かりづらい状態で、前々から直さなければと吹雪は思っていた。
でも、なかなかそんな機会が訪れず、結局放置したままだった。
———でも、今は夏休みだし、時間がないわけではないんだよねえ…
そんな事を思いながら、吹雪が棚と睨めっこしていると、その様子を見た親友である夏月が近づいてきて、にこりと笑って
「それなら、今片付ければいいじゃん。部活も終わったとこだし、夏休みだから別に慌てて帰らなくても平気でしょ。…なんなら、手伝おうか?」
と言った。
吹雪はそれもそうかと思い、二人で整理をし始めた。
—————2人で駄弁りながら片付けをしていると、突然扉が勢いよく音を立てて開いた。
扉の方に目をやると、よろよろと扉を閉め、大きなため息をドッとつく、川澄駿の姿があった。
「ちょ、どうしたの駿君」
夏月が作業の手を一旦止めて、駿にそう話しかけると、駿はぼそりと
「…いや、忘れ物」
と呟いた。
———そういえば、あそこに置きっぱなしだったタオル、駿君のだったんだ。
吹雪はそう思うと、とたんに気が緩んでしまって思わずクスリと笑ってしまった。
駿は照れくさそうに顔を俯いており、その光景を見て夏月はにやにやしていた。
「ひゅーひゅー、クラ夫婦ー」
「「うっさい!!」」
「…本当に夫婦みたいダネ」
夏月にからかわれ、二人はモヤモヤとした気持ちになる。
…まあ、二人とも顔を紅く染めているので、さらにからかいたくなっているのだが。
「ははは、すぐに否定するあたりがそれっぽいよ。…そういや、此処にあるのは処分しないとアレだよねー。ちょっと処分してくるよっ☆」
「!!」「………はぁ」
夏月はVサインを出して軽くウインクし、ゴミを片手に音楽室から華麗に退室した。
「…面倒な事しやがったな、あいつ」
「そういうの大好きだからまあ、しょうがないけど…」
吹雪は諦めたような顔で、整理を再開する。
その様子を見た駿は、何も言わずに手伝い始めた。
「…何」
「いや、なんとなく」
どこかそっけない会話。
無理もない。散々からかわれた後なのだから、普通そんなものだろう。
「まあ、手伝ってくれるのは嬉しいけどさ」
「後で500円な」「帰れ」
駿はさらに何か言ってみようかと思ったが、吹雪がそっと右手を刀の柄に添えている所を見た瞬間に止めた。
「そうだ、手伝ってくれるなら、そっちの方の順番揃えてくれない?私はこっち片付けてるから」
「分かった」
駿は吹雪が指示したところに移動し、テキパキと順番をそろえていく。
吹雪も自分のところを綺麗に整理していっていた。
…と、ここまでは順調だった。
———グゥワン、ッツ—————————
「———ッッ!!!」
突然酷い頭痛に襲われ、駿は一瞬よろめいた。
どうやら吹雪は気付いていないようで、淡々と整理をしている。
駿はそれに安堵しつつ、同時に心に不安の二文字が瞬時に広がった。
———この頭痛は、あの時の—————
駿は昔の事を思い出し、全身に鳥肌が立った。
‐よろめく本棚。−
‐落ちてくる楽譜達。−
‐華奢な身体に襲いかかる残酷な事実。−
‐一瞬先のミライ。−
「—————ッ!!!」
駿は吹雪の方にダッシュし、吹雪を抱きかかえるようにして地面に滑り込んだ。
「っちょッッ」
吹雪が何か言おうとした瞬間、目の前に信じられないような光景が広がった。
———え?
突然本棚が揺らめき、楽譜やら花瓶やらがドサドサと落ちていった。
それも、自分がいたところに。
ガラガラガラッ。
文字にすると寂しくなるが、実際にはもっと恐ろしく、もっと耳に嫌に響くような恐ろしい音を立てて物が落ちた。
吹雪の顔は徐々に蒼白となる。
「ぇ、こんな、嘘………」
震える声でそう言うと、駿は安心させるように微笑んでみせ、
「大丈夫だ。もう落ちてこない。…ところで、怪我は?」
と言った。
吹雪はそれに答えるようにふるふると首を振ると、駿は軽く笑った。
吹雪はその表情を見て、安堵感と自分の弱さを同時に突き刺されたように思った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ここまでは導入。
「ういーす、WAWAWA忘れ物〜♪」
吉野が某S○S団とかのアレ的な感じではいってきた。
…TPOが最悪だったが。
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
吉野は口をあんぐり開け、ぷるぷると震えながら2人を指さした。
無理もない、何故なら———
「……ア、ソウナンダ。ソウイウ仲ナンダ。ソウダッタンダー、ダー………」
「んなッッ!!」「———ッッ!!」
2人は今まで気持ちに余裕がなくて気付いていなかったが、状況を軽く説明すると駿が吹雪を押 し 倒 し て い る 。
「くぁwせdrftgyふじこlp!!」
駿は慌てて立ち上がり、吹雪もそれにつられて立ち上がる。
一方、吉野は忘れていたリードケースをゆっくりと持って鞄に入れた瞬間、「すまん………ごゆっくり〜〜〜〜!!」と、またまた某アイツのような台詞を吐いて音楽室から出ていった。
「ドウシヨウドウシヨウドウシヨウ」
「…なんか、次の日から嫌な誤解受けるだろうな」
「うう、まだなっちゃんがいなかったからいいけど…死にたい埋まりたい果てたい」
「Yes,I do」
2人とも謎の言葉を放ちながら、よろよろと整理を終え、のろのろと去っていった。
「HAHAHA、いいもん見ちゃった見ちゃった。こりゃあ3日間はネタになるぜ!!」
———残念ながら夏月にバッチリ見られていた。