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第1章 大丈夫じゃない、問題だ[澤村] ( No.71 )
日時: 2011/09/18 20:48
名前: とろわ (ID: 3QDumk2O)

「さて、皆チューニング終わったみたいだし始めるかー!」

夏月ちゃんがそう言うと、皆楽器を構え始めた。
やっぱり、夏月ちゃんってリーダー格って感じだよなあ。

あ、ちなみに私は澤村愛里です。フルート担当で、新木管セクションリーダー&楽指揮なのです。

「あ、大木ちゃん。合図おねがーい」
「………ん」

大木ちゃんというのは大木俊之君の事。パーカスのセクションリーダーをしていて、今はドラムをしている。
ドラムをしていると言っても、今まで先輩がやっていて、少し触らせてもらったぐらいらしいから、実質初めての演奏みたいだけど。
…大丈夫かなあ、大木ちゃん。
普段は無口だから全然喋らないし、表情も読み取りにくいけど、なんとなく不安そうに見える。

まあ、きっとなんとかなるだろうと思い、私もフルートを構えた。
大木ちゃんがスティックをカンカンと鳴らすと、皆いっせいに吹き始めた。




夏月ちゃん達のトランペットや駿君達のクラリネット、そして、私達のフルートの高音で音を彩る。

西院ちゃん達のサックスや涼ちゃん達のホルンが中音として周りを支える。

結華ちゃん達のトロンボーンやしのんちゃん達のユーフォ、杏子ちゃん達のチューバが音楽に厚みを持たせる。

そして、大木ちゃん達のパーカッションによって、音楽はよりはっきりと映し出される。

私達の演奏は、決して上手いとは言えない。
でも、その代わりに皆の個性がよく出ている。たとえ、それがどんな意味でも。

私達の『パイレーツ・オブ・カリビアン』が、今、形となって————


「あ、皆合わせてたんだね。それはいい事だよ。すばらしい素晴らしい」

と、吹いている途中に月見里先生達が音楽室にはいってきた。
私達はどうしようか迷って、気がつけば音楽は途切れていた。

「別に止めなくてもよかったんだけど。…あ、そうだ。俺指揮するよっ。せっかくだから皆で合わせようじゃないか」

珍しく、先生がノリノリで指揮棒を持った。
一瞬困惑したけど、その言葉をのみこんだ後は皆嬉しそうな顔をした。
先生の指揮は美しくて、指摘も的確。
正確はアレだけど、黙っていれば普通にかっこいい。特に指揮棒振ってる時はね。

「ささ、吉野くんも桜花さんも準備して。そして、他のみんなはもう一回チューニングねー」
「「「「「はい!!!」」」」」



何だかすっごくテンション上がってきたー!!