コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

第1章 大丈夫じゃない、問題だ[吉野] ( No.90 )
日時: 2011/09/25 16:29
名前: とろわ (ID: 3QDumk2O)

音楽室に戻る途中、どうせこいつらサボってべちゃくちゃ喋ってんだろうなーと思っていたら、意外と真面目に合奏してたんだな。
まあ、やる時にはこいつらやる奴だからな。
…やんねえ時が多いのが問題なんですけどね。まあ、俺もだがな!!

「部長、準備OKでありますか?」

突然芽亜がそう言ってきたので、俺は一瞬ビビった。
…しかし、珍しいな。朝にはとことん来ないのに、部活。
休日部活は9時から始まるのだが、芽亜は基本10時半ぐらいにのこのこと現れる。
時間通りに来る事は一年にほんの数回なので、きっと暫くはこんな事ねーんだろうなあ。

「うし、準備完了っと」

俺は譜面台を持って、自分の椅子の方に向かった。




「よーし、皆大丈夫みたいだし、始めようか」

月見里先生が指揮棒をゆっくりと上げると、皆いっせいに構える。
先生は普段は穏和な…というかアレな感じの人だが、指揮棒を握ると一気に真面目になる。
皆の顔にも緊張が見える。

「ワン、ツー」

そう先生が言うと、皆が一斉に吹き始めた。







順調に吹いていく。

ふと、先生と目が合った。
手をちょいちょいと動かしていた。恐らく『もっと音量を出して』という意味なのだろう。
試しに音量を少し上げると、先生はにこりと笑いかけた。

…お、おっさんと意思疎通してる、俺!!












「はーい、皆お疲れー」

そう先生が言うと、皆一斉にべちゃくちゃと喋りだした。
なんとか合奏が終了した。うん、グダグダだよそりゃあもう。

ふう、とため息をつくと、隣でアルトサックスを吹いていた稲生西院が俺の顔をじっと見つめてきた。

「ん、どうしたんだよ」
「!!」

そう俺が言うと、慌てて西院が俺と反対方向を向いた。
こいつ、あんま喋らないし人見知りだしいじめられっ子だからか、あまり人と関わろうとしていない。
…まあ、別に関わる事はあまり嫌いじゃないみたいだけど。
これでも、大分よくなった方なんだよなあ…。こ れ で も 。

「はいはい、お喋りしゅーりょー。これから俺が感想言いまーす」

先生がそう言うと、皆静かになる。
この毒舌顧問が何言うかわかんねーからなあ…。うむ。



「はっきり言うとね。

















とっっっっっっっっってもへっっっったくそ!!
もうベリーベリーへたくそ!どうしてこんな不協和音を生み出せるのか分からないぐらいへたくそ!もうこんなの人に聞かせるなんて一生できねーだろワロスwwってぐらいへたくそ!!」



「…………………」







………。

「あれ、どうして皆黙るのさ。俺はただ、皆に事実を言っただけなんだよ?」

いや、さすがに直球すぎて何も言えねえっす、先生……。