コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

第1章 大丈夫じゃない、問題だ[桜花] ( No.98 )
日時: 2011/09/24 16:54
名前: とろわ (ID: 3QDumk2O)

「…アレか、下手糞だけだと分かりにくいか」

先生はそう言うと、私達クラの方をぴっと指さした。

「まずクラ。音が全体的に合ってないけど、俺が気になったのはDとかGとかかなあ。特に高音が合ってないから、パートの時間の時にチューナーで合わせて」

「「「はい」」」

返事をすると、先生はにこりと私達に笑いかけてから、フルートの方を向いた。

「次、フルート。大体音は合ってるけど、少し音量が小さいかな。ペットとかが音量出してるから、もっとバンバン吹いていいよ」

「「「はい」」」

「さて次、サックス。吉野くんはもう少し音をはっきりさせてほしいなあ。そして、バリサクはもう少し音量落として。アルト・ソプラノはもっと出してもいいけどね」

「「「はい」」」


…とまあ、そんな感じで先生はどのパートにも次々と的確な指摘をしていった。
普段は旅行とか行っていたり、真面目に練習していない事が多いから、真剣に指摘している様子はなんかかっこよく感じる。
……容姿がデ○ラララ!!の折○臨○っぽいし、声も○谷○史さんみたいなのにね。まあ、関係ないけど。

「うー…。ちょっと思っていた以上のアレな感じだったなあ。これじゃあ香川も難しいっかな……」

突然、先生がそう言った。
大体の部員が?マークを頭上に出すかポカーンとしていたが、ただ一名、吉野だけがブッッと吹きだした。
…恐らく、スーツケースがあったから、明日からとかに行くんだろうな、香川。

「ま、今更キャンセルもできないから行くけどね、かっがっわ!」

先生がそう言うと、私含む全員がふぅとため息をついた。
ですよねーという雰囲気がぐわっと音楽室を支配する。
しかし、何で香川?セレクトが渋すぎる気が…。


「さてっと。吉野くん、桜花さん。今日の予定を皆に言ってね。五分遅れちゃったから、全部五分伸ばしにしてね。基礎合奏の頃には音楽室に戻るから、それまで自分達で頑張ってー」

先生は手をゆらゆらと振り、そのままふらふらと音楽室から出て行った。




「……………」

「……………」

「…吉野、言うぞ」

「お、おう」

先生のフリーダム星人っぷりは凶器にもなれる気がする。



「それじゃ、今日の部活内容を説明します」

「「「「はい」」」」

吉野がけだるそうに言うと、皆少し戸惑いながらも返事をした。

「まず、体ほぐしをします。その後に基礎合奏、その後に基礎パート。それが終わったらパイレーツ合奏です」

「「「「はい」」」」

「体ほぐしをするので、椅子や楽器を端によけてください」

「「「「はい」」」」

皆がそう返事をすると、横に楽器などをはけて、体ほぐしの隊形に並んだ。
ちなみに、体ほぐしでは、ブレストレーニングやストレッチなどを20分ほどする。
面倒といえば面倒だが、すれば成果が出るので文句は言えない。



さて、ここからが本当に『先輩のいない部活』が始まる。
気を引き締めて頑張ろう。私。