コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 刻の扉 ( No.20 )
- 日時: 2011/09/17 20:44
- 名前: 水鏡 (ID: ySP8nr/s)
9| 自分で決める道
あれからしばらくたち、やっと落ち着いてきたあたし達。
シナンちゃんだけがアキの話を整理せずに受け入れられたみたい
普通そうな顔であたし達を見ていた
「落ち着きましたか?」
「うん……」
アキはまだ納得していないようだったけど、とても冗談だとは思えない空気に静かに頷いた。
「なら、話再開していいか?」
ミナミの問い掛けにあたし達は無言で頷く
「さっきの話の続きなんだけど」ミナミが静かに口をひらく
「俺は時の使い手としてこの国から出ていく事にしたんだ」
「うん……」アキが返事を返す
「理由は……
やっぱりオレ達ここの国にいたらいけない気がするんだ……」
この言葉にはみんな返す言葉がなく頷く事すらできなかった。
「……それで
この国を救えるのはオレ達しかいない……
そんな気がするんだ……」
「そんなの……」
アキが何かいいかけたけどすぐに口を閉じた
「わかりました
わたしもこのままでは良くないと思っていましたから……
ミナミ君に賛成です。」
あたしは驚いた、シナンちゃんまでそう思っていたなんて……
同じ時使いとしてちゃんとした考えを持っていない自分が恥ずかしかった。
「でもさ……
急になんでそんな事言い出したんだよ……」
アキが口をひらいた
「これは前から決めてた事なんだ……
この国を平和にできるなら軍隊よりもよっぽど良い方法だと思う」
「そんなに……
そんなにこの国の平和が大事かよ!?
お前らがしようとしてる事がどれほどのものかわかんのかよ!?」
「そんなの百も承知
オレが決めたんだ……
自分がどうしいかは自分で決める」
「………………」
アキは何も言い返せないのかそれとも呆れたのか何も返さなかった
ー自分がどうしたいかは自分で決めるー
あたしの頭にさっきのミナミの言葉がこだまする。
自分で決める か……
あたしはどうしたらいいんだろ…… このままじゃいけないのはわかるけど
この国から逃げるのも嫌だ……
あたしは今までに何回も逃げる人を見てきた
うまく逃げれた人も捕まって処刑にされた人も…… どっちにしろ逃げる事は卑怯な事であり、同時に自分が育った国を捨てるという事になる
「でもそんなの危険じゃないかな?」
あたしはどっちの味方をしているのかわからない……
「ここの国にいる方がよっぽど危険だろ……」
「残念だけど シアの方が正しいよミナミ……」
今まで黙っていたアキが力なく呟いた
「この国から脱出して見付かれば死刑にされる……
運よく逃げれたとしてもそれからも窮屈な日々が続くと思う……
それなら この国で一生時使いという事を隠して生きた方が安全だ……」
「オレはこの国を守りたい……
それだけだ……
お前がそう言うんなら お前にオレを止めさせる権利なんてない
オレはお前になんと言われようがこの国から出る」
それがオレが自分で決めた自分の道だ
最後にそう付け加えてミナミはどこかへ行ってしまった
「何だよ
自分の決めた道って……
その自分の道に自分で障害をおいてるもんじゃねぇーかよ!!」
アキが悲痛に満ちた声で叫んだ
12歳という年齢でそこまで考えてた事にあたしは驚いた
自分は何も決めてないのに……
二人は自分の考えをちゃんと持って自分の意思もちゃんとある
シナンちゃんもあたしよりもはるかに大人だし……
産まれた境遇が違うとこうも変わるものなのかな……
あたしはどうしたらいいんだろう……
このままミナミを追い掛けようか?
それとも この国に残ってみんなを守る方法もあるけど……
「それはシアさんが決める事です
他人の未来に自分の未来を当てはめても当てはまりませんよ……」
まるで今のあたしの心を読んだかのようにシナンちゃんは呟いた
そうだよね……
あたしはーーーーーーーー…………