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Re: 刻の扉  ( No.21 )
日時: 2011/09/17 22:09
名前: 水鏡 (ID: ySP8nr/s)

10| 決意

あの後家に帰ったあたし達はあの事で頭がいっぱいだった。
「とんでもない日でしたね……」
確かにね……。シナンちゃんは初めて外に出て遊ぶハズだったのに……。
「それにしても驚いたよ。シナンちゃんが時使いだったなんて……」
「黙っててすみません……
シアさんの考えが知りたかったから……」
「そっか……」
シナンちゃんはあたしの考えが知りたくても、あたしが何も考えていない。
「シナンちゃんはさ……
何でミナミに賛成なの?」
「えっ?」
沈黙が続いた。しばらくしてシナンちゃんが口をひらいた。
「それは この国を守りたいからです。
知ってますかシアさん 時使いにどんな力があるのか……」
「うん……」
「わたしにはわたしなりの考えがあるんです。
ミナミ君にもあるように……」
わたしなりの考え……。あたしは……どうしたい?
どうしたいか自分で決めよう……。何回も言ってる言葉じゃない!!
「シナンちゃん!!あたしも行くよ!!
死刑にされようが窮屈な思いをしようが、全部自分で決めた道なら後悔しない!!」
シナンちゃんはあたしをびっくりした目でみていたけど、すぐに優しく微笑んだ。
「シアさんが決めた道ならきっと後悔しませんよ」
「ありがとう」
アキには悪いことしたと思うけど、あたしにはあたしの道がある。
だから誰に何を言われようが二人の思いが伝わってきた以上、この国を守る事を誓う。
「それなら、準備は早い方がいいですよね」
そう言うとシナンちゃんはチャンスは今日しかありません、っと言って部屋へと戻っていった。
あたしも部屋へと戻る、開けなれた扉を開けて自分の部屋へ入る。
今日でこの部屋ともお別れか、あたしは元々自分の物が本と服位しかないからスグに準備はできた。
「今までありがとう」そう呟いて部屋を出た。
廊下に出るとシナンちゃんが立っていた。寒々しい廊下が異様に寂しく感じる。
「行きましょうか」
「うん!!」
階段をおりて、玄関扉を開けた。
そこには清々しいほどの青い空。見馴れた風景、懐かしい香り。
泣きそうになるのを堪えて家を振り返る、ふと手に温かさを感じた。
「シナンちゃん……」
シナンちゃんはあたしの手を握って、
「行きましょうか」っと言った。

ーありがとうー
あたしはもうこの国には帰って来ないかもしれないけど
まだまだ聞きたい事が沢山あるし……。これからも自分の道を進むためにもこの国を離れる。