コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 刻の扉 ( No.5 )
- 日時: 2011/09/15 17:05
- 名前: 水鏡 (ID: ySP8nr/s)
1| シア
『キャアアアアアァァ』
空はすっかり暗くなり 静寂に包まれていた町に
夜空を切り裂くような悲鳴がこだました。
(誰…… どこに居るの……)
悲鳴を聞き付けて町に来た一人の少女は心の中でそう呟いた
「また…… また見失っちゃった……」
少女が呟いた瞬間 町も空もドロドロに溶け出して闇が覆い被さった。
ーーーーーーーー
「またあの夢か……」
目を開けると そこは見慣れた部屋
カーテンの隙間から入ってくる日の光に 小鳥のさえずり
さっきまでの夢とはうってかわって平和な世界
「夢なのかな?」
夢にしてはリアルすぎたなっと思いながら支度する
今日は友達と朝から遊ぶ約束をしている
あたしから誘ったんだし 遅れる訳にはいかないよね!!
あっ!! 自己紹介遅れました
あたしはシアっていいます☆
お父さんとお母さんは有名な時使いだったけど あたしが小さい時に事故で死んじゃったらしいの……
それからはずっと親戚の叔母さんの家で暮らしてるんだ☆
友達も男の子しかいないの……
ここの町は『ノーディン』といって平和な町じやんないから住む人も少ないんだー……
遠く離れた『リディン』はこことは正反対で平和なんだって!!
いつか行こうね って友達と約束してるんだよ♪
「シアー 起きてるんなら家事を手伝いなさい」
「えっ? はーーい……」
うっそーー
叔母さんが起きる前に家を出るハズだったのに……
このままじゃ約束に遅れちゃうよー
あたしのバカバカバカバカ!!
「早くしなさーい」
「はーーい……」
叔母さんはあたしのお父さんの妹にあたるらしいの
既婚者なんだけどあたしが来たせいで離れ離れに暮らしてるんだって……
コンコンコン……
部屋の扉をノックする音が聞こえて後ろを振り返る
「いいですか?」
あたしが返事をする前に扉が開き 妹であるシナンちゃんが顔を覗かせた。
「あ シナンちゃん何か用?」
「お姉ちゃん 今日遊ぶ約束してるです」
「えっ?」
「お姉ちゃん ミナミ君と遊ぶ約束してます」
「うん そうだよ
でも 遊べなくなっちゃって」
「ミナミ君との約束の方が先ですよ?」
「えっ?」
きっとシナンちゃんは知ってるんだなっと気付いた
「あっ…… いいの いいの!!
いつでも 遊べるしさ!!」
「そーですか……」
じゃあ っと言ってシナンちゃんは部屋から出ていった
だって 叔母さんに逆らうと 殴られたり蹴られたりするから……
痛いのは 嫌だから……
叔母さんは実の娘のシナンちゃんには優しいのに あたしには厳しいんだよねー………
あたしは疫病神だから仕方ないかっ!!
あたしは暗い気持ちのまま部屋を後にした。