コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

12 ( No.14 )
日時: 2011/10/12 03:01
名前: すずか (ID: gKVa1CPc)

 やっぱり5分以上かかってポジションに付いた山加商店街ご一行。あー、向こうの1番の人凄いイライラしてる。俺でもするわ。

「よし、新くん頑張れよ!!君なら何でもできるだろ!!」

 キャッチャー装備で勝手にそう断定してる柳田さんは、店長をスーパーマンか何かと勘違いしてるんじゃないだろうか。まあ実際あと数歩でスーパーマンになれそうだけど。確か店長頭も良かったし。
 相手の1番がバッターボックスに入る。駅向こう組の中では、まだ年寄りの方ではあるけれど、それでもざっと40過ぎぐらい。こっちの若い層より全然若い。こっちの若いのは俺等3人を除くと、次点で57歳の八百屋を営む橋本さんだしな。もう負けてる。

「お兄ちゃん頑張れー!!」

 ポンポンをぶんぶん振り回しながら飛び跳ねる仲矢。いや、人間の皮を被った天使ですね彼女は。当然ながら、向こうのベンチの視線は完全に仲矢に釘付け。試合見ろよお前ら。
 軽く仲矢に手を振ってから、初投球を試みる店長。おお、投げ方が相手の投手っぽい、やっぱ店長物覚えとか早い

ズバァァァァァンッ!!

「はあ!?」
「ええ!?」
「きゃー!!お兄ちゃんかっこいー!!」
「……お、おお」

 上から順に、バッター、俺、仲矢、店長。
 ちょっと待てよ、今の球素人が投げるスピードじゃねえよ!!テレビで見てる高校甲子園の準々決勝ぐらいの投手のスピードだったぞ今の!!何店長若干自分でびびってんだよ!!今の球投げたのあんただよ!!

「ス、ストライク!」

 しかもきっちりストライクゾーン入ってるし!!あとよく柳田さん取れたな今の!!

「新くん凄いよ!ミットに球が吸い込まれてきた!!」

 違う柳田さんが凄いんじゃない店長が凄いんだった!!柳田さんが適当に構えてたとこにドンピシャで投げたのか!!コントロールに自信があるとかっていうレベルじゃねえ!!

「雄人、これで良いのか?」
「問題なさすぎて問題です!!」
「……?」

 クエスチョンマーク浮かべてるよこの人。こっちはクエスチョンマークの横にビックリマークも浮かんでるのに、むしろ宙を乱舞してるぐらいなのに。

「とりあえずそのまま投げちゃってください」
「そうか」

 ほどなくして、

「ストライク、バッターアウト!!スリーアウト、チェンジ!!」

 案外勝てる気がしてきた。何で店長野球やらなかったんだろうと一瞬思ったけど、店長に団体競技は向いてないと数瞬後に納得した。親御さんはそこらへん、よく分かってらっしゃったのかもしれない。