コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

2 ( No.2 )
日時: 2013/11/26 00:49
名前: すずか (ID: tkV8RM03)

 ついでに、ここでバイトを始めてからもう1つ良い事がある。もう1つというか、これが9分9厘バイトをやってて良かったこと。

 その幸せを運んでくる人物が、登校中に肩を叩いてきた。既に誰だか分かってるので、俺のテンションはうなぎ昇り。任せろ、最もさわやかな(気がする)俺の振り向き方で対応しよう!

「はろー雄人くん」
「Hello!!!」
「うわぁ満面笑顔かつやたら良い発音で返された!」

 くっそ相変わらずあり得ないくらい可愛いな!あとちょっと引かれたな、さわやか作戦失敗!
 この美少女こそが、バイトを始めて良かった最大の要因、仲矢美鈴保。我が高校でも屈指の美少女として有名で、名字から分かるように店長の妹である。まあね、あれだけ兄がイケメンならね、そら妹も美人になるよね。というかならなかったら店長が宇宙人か何かだという説が浮上するわ。
 兄とは対照的に目はくりくりとしてるけど、長い髪は兄と一緒でしっかり真っ黒。いやあ、良い。非常に良い。俺黒髪ロング大好きよ。他のパーツ諸々も含めて、とにかく俺の好みストライクゾーンど真ん中。仲矢と知り合えただけでも、店で働かせてもらっていることに全身全霊で感謝したい。もう金物堂に足向けて寝れない。

「昨日はバイトお疲れ様!何事もなかった?」
「昨日はなー店長に包丁で刺されかけた」
「身内から犯罪者がー!?どうしよう逃亡の身!!」
「いや未遂だし。気にしなくても」

 よく考えたら未遂でもしっかり犯罪だけどな。
 口数が少ない店長とは打って変わって、仲矢はよく喋る。表情も豊かで見てるだけで幸せになってくるぜうおおひゃっはー!

「わーお雄人くんが突然土手に突っ込んだ時のカエルみたいに跳ね回り始めた!」
「いまいち例えが分からねえ! 普通にスキップで良いんじゃないかな仲矢!」
「そうかスキップという単語が!すげー!スキップすごいよ!日本語の神秘だよ!」

 アホの子なのは早々に発言で分かってると思うが、店長みたいに生命の危機に直面しないアホなら全く問題ない。むしろ仲矢ならチャームポイント。ノープロブレムよ。

「おいそこのアホ2人」
「俺もくくられてる!?」
「くくられてないと思ってるお前の頭は幸せだな、よしちょっと見せてみろ」
「お断りしますその手の動きは脳内御開帳パターンですよね、あとその哀れみの視線やめてくれませんかね卓巳さん」

 哀れみビームを惜しげもなく発射しているのが、友人その一である加賀卓巳。冷静な突っ込み役としてこの3人の輪で機能している。加えて相当ドSな彼奴に今まで色々と遊ばれてきた身としては、できればそのうち何か復讐をしたい。言ったら多分殺されるから言わないけど。
 まあ何だかんだあって、この面子で登校するのが常日頃の朝になっている。いやあ良いね、幸せだね。主に仲矢がいることが。卓巳はいてもいなくてもどっちでもいいけど。

「何となくだが、今雄人に対して殺意が芽生えたわ」
「すみませんでした」

 やっぱこいつ怖いわ。