コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

22 ( No.28 )
日時: 2011/12/05 20:57
名前: すずか (ID: 1u4Yuzgf)

 最終手段として、軽くゆさゆさと揺すってみたら起きた。眠いのとだるいのが相まってか、とんでもなく呆けた顔をしてる。ちょっと口の端から涎出てる。しかしそんな状況でも店長ってイケメンなのな。俺とか寝起き酷いぞ。母親に「いやー……残念だねえ」とかしみじみ言われたぞ。産んだのあなたですよ。
 その呆けた顔で仲矢をしばらく見つめた後、視線だけがこっちに向く。再び仲矢に戻った後、いつもの声でぼそりと、

「……美鈴保にもついに旦那が……。そうか、そろそろ俺は出ていかなければならないのか」
「俺です雄人です旦那じゃないですからそんな悲壮感溢れた顔で布団から這い出してこないでください」
「……ああ、雄人か。もうバイトの時間は終わっているはずだが……」
「夕飯もご馳走してもらうことになりました」
「そうか……。雄人なら風邪も引かないだろうしな」

 この人もオブラートに包んで馬鹿って言いやがった。俺そんなに馬鹿か、店長に言われるぐらい。
 というか、店長結構妹好きだよな。そりゃ俺だって仲矢が妹だったらいくらでも可愛がるけど。親バカ極めるわ。

「じゃじゃーん、鍋焼きうどん!!」
「……おお」

 布団から体を起こし、少し目が輝く店長。さっきから思ってたけど、風邪引いてから感情表現がいつもより大きい。感情のストッパー緩んでんのかな、珍しい表情が見れて結構面白い。

「あ、お兄ちゃんは出てこなくていいよ。お布団汚してもいいからそのままで食べてね」
「わかった」

 いそいそと箸を構え、仲矢を見ながら若干ワクワクしている。何かあれみたいだ、待てをされてる犬。そんなに好きなのか、うどん。家にうどん余ってたからまた持ってこようかな。

「いただきまーす」
「「いただきまーす」」

 おお、うめえ!仲矢って料理できるのか、ますますアイドルだな。可愛くて料理上手で天真爛漫。うわマジで嫁にしたい。

「仲矢すげーな、滅茶上手い」
「えへへー、ありがとー。お兄ちゃん直伝だよ」
「料理もできるのか店長!?」
「……両親が死んでからは、ずっと食事を作ってたからな」

 万能すぎる、ほんとに万能すぎる。性格が変なのも人間としての採算を合わせるためな気がしてきた。